製造現場にフィジカルAIをどう実装するか:EE Exclusive(1/4 ページ)
「フィジカルAI」への注目が高まっている。製造業でもヒューマノイドをはじめとするAIロボットの活用が期待され、実際の工場で試験導入する動きも始まった。一方、製造現場には位置ずれや部品のばらつき、接触といった現実世界ならではの要素があり、高性能なAIモデルを搭載するだけでは実用化できない。フィジカルAIを「製造現場で使える技術」にするために何が必要なのか、企業の取り組みや最新動向から探る。
この記事は、2026年9月15日発行の「EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版2026年9月号」に掲載している記事を転載したものです。
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期待が高まる「フィジカルAI」
生成AIに続くAIの新たな潮流として、「フィジカルAI」が大きな注目を集めている。フィジカルAIは、センサーなどで取得した現実世界の情報を基にAIが認識/判断を行い、その結果をロボットや機器の動作に反映する技術を指す。経済産業省は、工場の自律制御/最適化やロボットの自律制御、自動運転などを実現する基盤としてフィジカルAIを位置付ける。開発には、言語だけでなく画像や動画、センサーデータなどを扱うマルチモーダル基盤モデルが不可欠になるとの見方も示している。
製造業でも、その可能性を現場で探る動きが始まった。TE Connectivity Japanは2026年8月から掛川工場(静岡県掛川市)で、トライアルとしてヒューマノイドロボットを導入している。
ロボティクスへの期待の高さは調査にも表れている。Intelは2026年8月20日(米国時間)に、ロボット導入に関する調査「The Robotics Readiness Gap」の結果を公表した。米国/英国/ドイツ/日本/中国/韓国の6カ国で、企業の経営/IT部門のシニアリーダーやロボティクス専門家など計800人を対象に実施した調査だ。これによると、回答者の約60%が「所属組織では5年以内に多数のロボットを運用するようになる」と予想した。一方、人とロボットの協働に関する正式な戦略を策定している組織は40%にとどまった。さらに、55%は「安全性への懸念によってロボティクスの導入が遅れている」と回答している。ロボット導入への意欲に対し、運用に向けた準備にはギャップがあることが分かる。
本稿では、フィジカルAIの製造現場への導入に焦点を当て、製造現場への実装に向けた課題と、そこで求められる技術を紹介する。
「認識できる」と「作業できる」の間にある壁
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