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番外編 電源フィルタの設計に悪戦苦闘、雑音を抑えるはずが発振状態に…(前編)Analog ABC(アナログ技術基礎講座)(1/4 ページ)

振器を設計するとなかなか発振してくれないのに、アンプはすぐに発振してしまう…。高利得/広帯域のアンプを発振しないように設計するのは、結構難しいものです。

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「Analog ABC(アナログ技術基礎講座)」連載一覧

 発振器を設計するとなかなか発振してくれないのに、アンプはすぐに発振してしまう…。高利得/広帯域のアンプを発振しないように設計するのは、結構難しいものです。特に、電源フィルタも含めて発振させず、安定動作するアンプを作るのに悪戦苦闘した方も多いのではないでしょうか。

 番外編の2回目となる今回は、電源フィルタにまつわる失敗談を紹介しようと思ったのですが、記憶が古くなってしまったことに加えて、あまりにも長い期間にわたる話であるため、何回かに分けてもうまく説明できそうにありません。そこで、本連載で紹介してきた回路例を使いながら、私の悪戦苦闘ぶりを再現してみたいと思います。

スイッチング雑音が電源を「ゆする」

 電源フィルタとは、その名の通り、電源部分に挿入するフィルタです。挿入する目的は、電源(つまり、アンプにとっては外部)の雑音を、アンプに入れないように除去することです。

 第9回「エミッタ接地回路のサプリメント 〜エミッタ・フォロア〜」では、図1(a)のようにエミッタ接地増幅回路を多段接続した回路を紹介しました。図1(a)のV4は、電源に加わる雑音を表すための仮の部品です。雑音源としてV4で雑音を混入させて、電源電圧Vccをゆすっています。Vccがゆすられた悪影響は、OUT1やOUT2、OUT3という各段の出力に現れます。

図1
図1
図1 多段のアンプを安定動作させるのは難しい 上図(a)は、エミッタ接地のアンプを3段接続した回路図です。電圧源V1を雑音源V4でゆらします。下図(b)は、上図の出力波形です。Vccに100mV程度の「ヒゲ」が重畳することで、出力信号Vout3に大きな乱れが生じています。これでは、アンプとして使うことはできません。

 実際のアンプには、図1のV4のような雑音源があるわけではありません。電圧源V1にはスイッチングレギュレータを使うことが多く、実際にはスイッチング動作による雑音が電源電圧Vccに重畳されます。

 図1(b)は、Vccに雑音が重畳されたときの出力電圧Vout1、Vout2、Vout3の様子を示しています。Vccに重畳した雑音はわずか100mVですが、出力電圧Vout3(図1(b)の赤線)には雑音の影響が大きく表れています。これでは、アンプが誤動作してしまいます。

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