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番外編 電源フィルタの設計に悪戦苦闘、雑音を抑えるはずが発振状態に…(前編)Analog ABC(アナログ技術基礎講座)(2/4 ページ)

振器を設計するとなかなか発振してくれないのに、アンプはすぐに発振してしまう…。高利得/広帯域のアンプを発振しないように設計するのは、結構難しいものです。

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電源フィルタで電源雑音を除去

 電圧源の雑音を除去するのが、電源フィルタです。図2(a)のように、電源とアンプの間に、低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)を挿入します。電源フィルタには、抵抗とコンデンサで構成したRCフィルタを使うこともあります。しかし、アンプの消費電流と抵抗によって電圧降下が発生し、アンプに供給する電源電圧が下がってしまいます。このため、抵抗ではなく、インダクタを使うことがほとんどです。

 図2(a)の電源フィルタの定数は、暫定的にインダクタを1μH、コンデンサを1nFと設定しました。どのような結果になるかというと…、図2(b)の結果を見て下さい。アンプはまともに動作していません。

図2
図2
図2 雑音を抑制するために電源フィルタを挿入 上図(a)は、雑音源V4の悪影響を抑えるために、インダクタLとコンデンサCで構成した電源フィルタを入れたアンプです。下図(b)は、上図の出力波形です。電源フィルタを通過した後の電圧波形が大きくゆれてしまっています。

 図2(b)を詳しく見てみましょう。アンプに入力したのは、周波数が1MHzの正弦波なのですが、出力電圧には周波数が2MHzの矩形(くけい)波が出てきました。つまり、電源フィルタも含めたアンプが2MHzで見事に発振してしまっています。これは、電源フィルタの後段、すなわち電源フィルタを通過した後の波形が大きくゆれてしまっているのが原因だと考えられます。

 電圧源から発生した雑音を抑制するために電源フィルタを入れたはずです。なぜ、電源フィルタを通過した後の電圧がゆれてしまったのでしょうか…。それは、電源フィルタが並列共振器になっているからです。

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