「2016年の生産開始を目指す」、IMECが450mmウエハーへの移行計画を発表:ビジネスニュース
IMECが、450mmウエハーへの移行に向けて、具体的な計画を発表した。しかし、ファブの拡張や装置の導入、資金の調達など、課題はまだ多いという。
ベルギーの研究機関であるIMECは、450mmウエハーへの移行に向けて、同ウエハーに対応したEUV(極端紫外線)リソグラフィシステムを2015年をめどに稼働させる計画を発表した。それには、450mmウエハー専用のクリーンルームを用意する必要があるという。
IMECのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるLuc van den Hove氏は、報道陣に対して、同計画のスケジュールを説明した。同氏によると、「450mmウエハーへの移行は2013年〜2016年ごろを目指している。それに向けて、2012年に450mmウエハー処理装置を導入し、計測テストを開始する。その後、2016年ごろに最新の製造技術を適用した生産に移行する」という。
2011年9月には、Intel、IBM、Samsung Electronics、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)、GLOBALFOUNDRIESの半導体大手5社が、米ニューヨーク州北部を拠点として450mmウエハーへの移行を目指す「Global 450 Consortium」を設立することが明らかになった。Van den Hove氏は、「これにより、450mmウエハーへの移行は大きく進展するだろう」と語っている。
同氏は、「われわれは最先端の研究開発を続けていきたい。そのためには、ここ数年のうちに450mmウエハーに移行する必要がある。ただし、適切なタイミングで実施することが重要だ。早すぎる時期に研究開発を行っても、過剰なコストがかかるだけで意味がない」と述べている。
IMECは、450mmウエハーへの移行を2段階に分けて行う計画だという。第1フェーズは、IMECが現在稼働する300mmウエハーファブで2015年ごろから実施する。このフェーズでは、ウエハーのステイン特性や均一性、性能などを評価する。第2フェーズでは、フルフローに対応した装置設定で、実際の製造環境と同様の工程やデバイス開発を実施するとしている。
同氏は、「フルフローに対応するには、450mmウエハー専用のクリーンルームが必要となるが、これにはルーヴェンにある既存のパイロットウエハー用ファブを大幅に拡張することで対応したいと考えている。IMECは現在、拡張に向けてさまざまな案を検討している」と述べている。
さらに、EUVリソグラフィを含む450mmウエハーに対応した装置を搬入するには、2015年以前にファブの拡張に着手する必要がある。しかし同氏は、「450mmウエハーに対応した装置が2015年以前に製品化されるとは思えない」との見解を示している。
Van den Hove氏が頭を悩ませることの1つが、ファブ拡張のための資金調達である。フランダース州政府はこれまで、IMECの主要なプロジェクトをサポートしてきたが、不安定な経済状況が続く中、膨大な資金を援助することが難しくなってきている。今後は、IMECが自身で研究開発費をまかなう割合が増えていくだろう。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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