LEDばらつきへの配慮はもう不要、薄型テレビ向け電源設計の新技術:電源設計 LEDドライバ(2/2 ページ)
austriamicrosystemsが開発したLEDバックライト向け電源技術を使えば、LEDを選別する手間を軽減でき、電源基板の面積も大幅に削減できるという。
外付け部品を減らしたLEDドライバIC
austriamicrosystemsはこの他、薄型テレビのバックライトに向けたLEDドライバICの新品種「AS3820シリーズ」を、FPD International 2011に出品した。同社にとって第3世代となる製品で、同社従来品「AS3695」に比べて外付けMOSFETの点数を減らしたことと、パッケージ寸法を削減したことが特徴のLEDドライバICである。
同社従来品では、スイッチ用とIC保護用の高耐圧MOSFETをLEDドライバICに外付けする必要があった。これに対して新品種では、LEDドライバICの回路構成を変更することで、IC保護用MOSFETを不要にした。「16チャネルのLEDドライバICの場合、部品コストを1米ドル程度削減できる」(同氏)。また、外付けの高耐圧MOSFETの接続方法を変えたことで、従来は64端子だったパッケージを44端子に削減した(16チャネル品のとき)。調光精度の高いローカルディミング技術を搭載していることや、映像処理プロセッサと協調して動作し、映像のフレームごとに最適なディミングを施せることも特徴だという。
展示ブースには、austriamicrosystemsが2011年7月に買収を完了したTexas Advanced Optoelectronic Solutions(TAOS)の紹介もあった。TAOSは、民生分野向けの照度センサーや近接センサー(赤外線センサー)、カラーセンサーを製品化している。波長が300〜1100nmと広帯域の光を検出するセンサーと赤外線のみを検出するセンサーを組み合わせた、独自のセンシング技術が強みだという。一例を挙げると、同社の照度センサーでは、広帯域センサーで検出した光成分から、赤外線センサーで検出した赤外線成分の差分を取るという処理を施している。こうすることによって、人間の可視領域に一致した感度曲線を実現できるという。また、照度センサーと近接センサー(赤外線センサー)を1つのチップに集積することも可能である。
Texas Advanced Optoelectronic Solutions(TAOS)のMarketing DirectorであるJerry Koontz氏 TAOSは、照度センサーや近接センサー、カラーセンサーを手掛けている。austriamicrosystemsに2011年7月に買収された。
エネルギーコントロール(Energy Control)特選コーナー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「3軸の磁界を実際に測るホールエンコーダは業界初」、austriamicrosystemsが車載向け製品化
3軸検出によって取り付け位置の機械的な設計自由度を高められることや、競合他社品に比べて高い検出精度が得られることが特長だという。 - 目的から手段に変わるデジタル制御、電源の市場要求に応える切り札に
自動車のエンジンにマイコンを使ったデジタル制御が導入されてから数十年がたつ。デジタル化によって高度な制御が可能になり、燃費の改善や排気ガスの抑制、運転性能の向上を実現した。そして今、スイッチング電源もデジタル制御への移行期に差し掛かっている。 - 次世代照明が第2の普及期へ、LED蛍光灯と有機EL照明が主役に
白熱電球を置き換えるLED電球の勢いが著しい。白熱電球がなくなる日が見えてきた。白熱電球という点光源から、蛍光灯を置き換える線光源、さらにまったく新しい面光源へ、次世代照明が次々と広がっていく。