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ルネサスが震災被害から脱却し下期の黒字化を目指す、「LTEモデムは7社と契約」ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは、東日本大震災で主力工場が被災するなど大きな影響を受けた。2012年3月期の下期は、震災影響をはねのけて黒字化の達成を目指す。

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 ルネサス エレクトロニクスは2011年10月31日、2012年3月期の業績予想を発表した。半導体売上高は前年度比15%減の8710億円、営業損益は同425億円悪化して280億円の損失、経常損益は同380億円悪化して370億円の損失、純損益は同700億円改善して400億円の損失となる見込み。

 8月2日の第1四半期決算(参考記事1)で発表した業績予想と比べると、世界的な景気減速と円高による為替差損を考慮して、半導体売上高を370億円下方修正したものの、損益目標は据え置いた。

図1 ルネサスの赤尾泰氏
図1 ルネサスの赤尾泰氏

 同社社長の赤尾泰氏(図1)は、「那珂工場(茨城県ひたちなか市)を中心とした生産減による震災の影響は第1四半期で底入れした。第2四半期以降、業績は回復傾向にあり、下期は確実に黒字化を達成したい」と語る。

 下期の半導体売上高は、上期比で17%増となる4688億円を見込んでいる。その内訳は、マイコンが同20%半ば増加して約2050億円、アナログ&パワー半導体(A&P)が同十数%増加して約1460億円、SoC(System on Chip)が同十数%増加して約1180億円となっている(図2)。特にマイコンの伸びは、上期比で30%伸びる車載マイコンを中心に、半導体売上高の上期比増加分のうち60%を占める。一方、汎用マイコンについては、欧州の財政不安や中国の成長鈍化によって第4四半期の需要の不透明感が増しているという。A&Pは、マイコンと同様に車載向けが好調で増加する。表示ドライバICは、中小型向けが好調であるものの、テレビなど大型向けが不振であるため、上期比で微増となる見込み。SoCは、車載向けや産業用機器/ネットワーク機器向けが上期比で増加する。モバイル向けは、携帯電話機メーカーのスマートフォンシフトにより上期と同様に売上高が落ち込み、民生用機器、PC周辺機器向けも需要が低迷するとみている。

2012年3月期下期の半導体売上高の見通し下期半導体売上高の事業別の状況 図2 ルネサスの2012年3月期下期の半導体売上高 左側は上期との比較、右側は事業別の状況である。

 ルネサスは、8月2日の第1四半期決算発表で、安定的に利益を出せる事業体質を目指して、SoC事業の選択と集中や、生産ラインの集約などを進める方針を明らかにしている。赤尾氏は、SoC事業の方向性について、「現時点で具体的な施策は発表できないが、今後の決算発表の結果などから明らかになるだろう」と述べるにとどめた。一方、生産ラインの集約については、甲府工場(山梨県甲斐市)の6インチラインの縮小、高崎工場(群馬県高崎市)の縮小、滋賀工場(滋賀県大津市)の5インチラインの集約を順次進める予定(図3)。また、2011年7月に発表した村田製作所へのパワーアンプ事業の売却(参考記事2)については、2012年2月に村田製作所に譲渡することで最終契約を締結した。

図3 事業/生産構造対策の概要
図3 事業/生産構造対策の概要

 また、研究開発費の削減も進める。具体的には、売上高に対する研究開発費の比率をこれまでの19〜20%から16%に減らす。「合併前の2社がそれぞれのSoC事業につぎ込んでいたリソースを統合により効率化できる上に、SoC事業そのものの選択と集中も進めるので、その分だけ研究開発費を削減できる。マイコンとA&Pについては研究開発費を増やすが、SoC事業で研究開発費を効率化する効果が大きいので、最終的には16%に抑制できる」(赤尾氏)という。

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