ルネサスが震災被害から脱却し下期の黒字化を目指す、「LTEモデムは7社と契約」:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、東日本大震災で主力工場が被災するなど大きな影響を受けた。2012年3月期の下期は、震災影響をはねのけて黒字化の達成を目指す。
LTEモデムは国内外7社と契約
また、赤尾氏は、携帯電話機大手のNokiaから買収したLTE(Long Term Evolution)モデムプラットフォーム事業の進捗状況についても言及した。同氏は、「現在、国内3社、海外4社の顧客向けに、LTEモデムの設計を始めている。これらの他に、十指に余る顧客が当社のLTEモデムの採用を検討しており、極めて高い評価を得られていると感じている」と述べた。
業績予想に併せて発表した第2四半期の決算は以下の通り。半導体売上高は前年同期比18%減の2182億円、営業損益は同112億円悪化して101億円の損失、経常損益は同88億円悪化して131億円の損失、純損益は同6億円悪化して88億円の損失となった。一方、東日本大震災による影響で大幅な業績低下を余儀なくされた第1四半期と比べると、半導体売上高は19%増、営業損益は90億円の改善、経常損益は72億円の改善、純損益は244億円の改善と順調な回復を見せている。
第2四半期の半導体売上高を事業別で見ると、マイコンが前年同期比9%減の875億円、A&Pが20%減の672億円、SoCが24%減の632億円となった(図4)。第1四半期と比べると、マイコンは、20%伸びた車載マイコンや、民生用機器やPC周辺機器向けの増加により13%増加した。A&Pも、車載向けがけん引し7%増えた。また、第1四半期に大幅に落ち込んだSoCは、主力工場である那珂工場が生産再開したことや、アミューズメント機器向けが好調だったことから51%増となった。テレビ向けSoCの需要は変わらず低調だという。これら各事業の売上高の増加による利益増に加えて、2010年4月の合併当初から進めてきた効率化の施策「100日プロジェクト」を推進したことにより、営業損益は業績予想を上回った。
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