「あの手この手が必要です」、モバイルの“トラフィック爆発”に立ち向かう:無線通信技術 LTE(2/2 ページ)
ノキア シーメンス ネットワークスの「Liquid Net」は、データトラフィックの変動に合わせた自律的なネットワーク構築を支援する新たなコンセプトだ。モバイル端末のデータトラフィックの急増に対応する無線ネットワークとして通信業界に提案している。
4G通信の先、2020年のワイヤレスの姿
この他、ノキア シーメンス ネットワークス研究所の無線システムパフォーマンス 特別研究員であるHarri Holma氏は、LTEやLTE Advancedが登場したその先、2020年の移動体通信の姿を語った。
同氏が2020年の移動体通信に求められることとして挙げたのが、現在の1000倍にも増大するトラフィックへの対応や、堅固かつ場所によらない接続性、ギガビット/秒クラスの高速データ伝送、低遅延といった性能の実現だ。いずれも、現在の無線ネットワーク技術そのままでは実現は難しく、新たな技術を盛り込んでいく必要がある。同氏は、2020年に無線ネットワーク技術はどのように変化しているのか、以下のように語った。
(1)周波数利用効率(1セルおよび1Hz当たりのデータ伝送速度)は現在の10倍に向上する。
周波数利用効率は、データ伝送速度の理論限界を表現した「シャノンの定理」で規定された限界というよりも、無線基地局のセル間の干渉によって制限されている。従って、無線基地局のセル間の干渉を抑制することで向上させることができる。
(2)無線ネットワークの遅延時間は、現在の1/10になる。
フレーム構造を改善することなどで、遅延時間はHSPA(High Speed Packet Access)の1/20、LTEの1/10に相当する1ms(ミリ秒)に短縮できる。
(3)利用できる周波数帯域の合計は10倍に増える可能性がある。
コグニティブ無線の実用化によって、異なる事業者間の周波数利用が最適化される。
同氏はさらに、大型な無線基地局は街から姿を消し、電柱の最上部に取り付けられるようになり、アンテナもさまざまな形状のものが製品化されるといった予測を語った。
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