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「ARM版Windows 8は大きな成功に至らない」、技術アナリストが予想2012 International CES

タブレットPCやスマートフォンでは現在、ARMベースのプロセッサが高いシェアを占めている。しかし、それらの上でWindows 8を稼働させるというシナリオは、必ずしも明るくない――ある技術アナリストはそうみている。

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 例年、年明けすぐに米国のラスベガスで開催される消費者向けエレクトロニクスの総合展示会「International CES」。これまでは、重大な発表や全く新しい技術が発表される場という位置付けだった。その観点で見ると、2012年1月10〜13日に開催された今年のCESはこれまでと異なり、既に消費者が手にしている機器を斬進的に改良した提案が中心になっていた。

 技術アナリストのJack Gold氏は、「今回のCESでは、従来の性能を高め、よりスマートな機能を持たせただけという製品が目立った」と振り返りながらも、そうした比較的小さな改良点が、消費者の利用体験に大きな違いをもたらす可能性もあると指摘した。

 今回のCESで発表された製品のうち、最も注目を集めたものの1つは、Intelのスマートフォンのリファレンス設計だろう。今後、同社のAtomプロセッサをベースにしたスマートフォンがまず中国で発売される予定だ。ただし、消費者が“インテル・インサイド”のスマートフォンを積極的に受け入れるかどうかは、いまだ議論の的である。

 Gold氏は、「Intelはいくらでも“ファインチューニング”が可能だ。同社にはソフトウェアコンパイラの専門知識がある。今後同社がスマートフォン市場でどのように立ち回るか、見どころだ」と述べた。さらに同氏は、Atomベースのハードウェアプラットフォームの方が、既存のARMベースのプラットフォームよりもAndroid OSを稼働させるのに適しているとなれば、スマートフォン市場で注目を集めるようになる可能性もあるとした上で、「チャンスは十分にある」と見解を示した。

Jack Gold氏
EE Timesの取材に応じる技術アナリストのJack Gold氏(左)

 Gold氏は、“応答性”が重要な鍵になると指摘する。「もしブラウザを3秒ではなく1秒で開けたら。メディアを10フレーム/秒ではなく30フレーム/秒でストリーミングできたら。もしアプリを数秒ではなく数μsで立ち上がられたら。みんなその良さに気付くだろう」(同氏)。

 またGold氏は、Microsoftの最新OS「Windows 8」をめぐる議論について言及し、携帯電話機やタブレット端末、PCなどの間で同OSがよりいっそう共通化され、消費者が「コングロマリット(複合的な)体験」を今以上に享受できるようになることへの期待感を示した。

 ただし同氏は、ARMベースプロセッサ上でWindows 8を稼働させるというシナリオについては楽観視しておらず、「消える運命にあるというのは言い過ぎかもしれないが、大きな成功には至らないと考えている」との見解を述べた。

 Gold氏がこうした懐疑的な見方をするのは、ARMベースのハードウェアプラットフォームでは、ソフトウェアの後方互換性が確保できないという背景がある。同氏は、もしARMプラットフォームの市場でWindows 8の普及が速いペースで進まなければ、Microsoftは以前に別のプラットフォームで起きたケースと同様に、ARMプラットフォームへの投資を止める可能性があると示唆した。

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