市場シェアの減少が止まらないRIM、経営陣交代でも回復は困難:ビジネスニュース アナリストリポート
新CEOが就任したRIMだが、アナリストは「スマートフォン市場におけるシェアの減少を食い止めることは難しい」とみている。
RIM(Research In Motion)の共同CEO(最高経営責任者)であったMike Lazaridis氏とJim Balsillie氏が退陣し、同社のCOO(最高執行責任者)の1人だったThorsten Heins氏がその座を引き継いだ。米国ウォールストリートのあるアナリストは、この交代劇について、「社内の士気を高めることはできるが、市場シェアの減少を食い止めるまでに至らない」と分析している。
米国の投資会社であるCanaccord Genuityで技術アナリストを務めるMichael Walkley氏は、2012年1月に発表したリポートの中で、「経営トップの交代により、社内に再び活気が戻り、業務改善が進んだり、潜在的なユーザーの関心が高まったりする可能性はある。だが、新OSの『BlackBerry 10』ではAndroidやAppleの『iOS』に奪われた市場シェアを取り戻せないという当社の見方は変わらない」と述べた。
Walkley氏は、「RIMの株式の格付けは現状維持とする」としたものの、「RIMの競合各社が、より強固なソフトウェアエコシステム上で高性能スマートフォンを販売していることに加え、低コストのAndroidベースのスマートフォンはRIMの海外売り上げを圧迫している。こうした点から、Canaccord Genuityは、RIMの売上高と収益は今後も減少すると確信している」と分析している。
RIMを19年近くにわたり率いてきたLazaridis氏とBalsillie氏は、2012年1月22日(現地時間)付けでCEOを辞任した。同社の取締役会はHeins氏を新CEOに任命したが、RIMによると、Lazaridis氏とBalsillie氏が、Heins氏を後継者として選任していたという。
Heins氏は2007年12月、Siemens Communications Groupから移る形でRIMに入社している。同氏は、報道発表資料の中で、「RIMに大きな潜在力があると確信している」と述べた。「前CEOの両名は18カ月前、今後10年間でBlackBerryの再起を図るべく、組み込みOSを手掛けるQNX Software Systemsを買収するという大胆な手段に打って出た。当社は、これが正しい選択であったという確信を、これまで以上に強めている。RIMの今後の成長を思うと胸が躍る」とスピーチした。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、RIMは2011年における世界スマートフォン市場の売上高ランキングで、Apple、Nokia、Samsung Electronicsに続く第4位にまで順位を下げた。また、米国の別の調査会社であるCanalysによると、米スマートフォン市場におけるRIMのシェアは、2009年には50%近くだったが、「iPhone」やAndroidベースのスマートフォンとの厳しい競争の結果、2011年第3四半期には約9%にまで落ち込んでいる。
J. Gold Associatesのアナリストを務めるJack Gold氏も、Canaccord GenuityのWalkley氏に同調する。「RIMの経営陣の交代は、シェアの回復にはつながらないだろう。RIMはBlackBerry 10をできるだけ早く市場に投入すべきだ」(Gold氏)。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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