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世界を包む電子の神経網 ―― “モノのインターネット”が秘める可能性無線通信技術 M2M(4/4 ページ)

各種センサー端末から家電、インフラ機器まで、あらゆるモノに通信機能を組み込んでネットワーク化する、いわゆる“モノのインターネット”は、この地球に張り巡らされるエレクトロニクスの神経網だ。そこで捉えた膨大な情報から価値のある情報を抽出すれば、人類にとってさまざまな課題を解決する有力な手段になるだろう。

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ネットワークのオーバーロードを回避せよ

 モノのインターネットにおいて、何兆個ものノードをネットワーク化する際にエンジニアリングの観点で大きなハードルになるのは、ネットワークのオーバーロードを防ぐことだ。こう指摘するのは、Freescale Semiconductorのネットワーキングプロセッサ部門でプロダクトマーケティングマネジャーを務めるIan Davidson氏である。

 同氏は、「1つ1つのノードのM2M通信量が幾ら少ないといっても、接続されるデバイスの数を考えれば実質的な総量は非常に大きくなる。ネットワークをオーバーロードしてしまう危険性があるだろう」としている。「例えば、1日の終わりには町中の全てのバスが車庫に駐車される。もしそれら全てがその日のログを同時にアップロードしようとしたら、携帯電話のネットワークをオーバーロードしてしまうかもしれない。それは、ネットワークのダウンにつながる危険性がある」(同氏)。

 Freescaleは、ネットワークの輻輳(ふくそう)を緩和するローカルゲートウェイノードを備えた階層化ネットワークの採用を推奨する。ネットワークの末端におけるセンサーノードから、クラウドの中にあるサーバに至るまでの全てのレベルに対応するには、広い範囲のプロセッサ性能と無線通信帯域幅が求められる。この要件によって、ネットワークの異種性が固定化されてしまい、規模の経済による価格の劇的な低下を望めなくなる可能性もある。

 「全ての価格ポイントに対応できることに加えて、ネットワークの末端からハブ、バックホール、そしてクラウドに至るまで、全ての利用形態に合致するような、幅広いテクノロジが必要である」(同氏)。

 このネットワーク末端とクラウド解析の間にある溝の橋渡しを目指す、新たな企業も生まれている。米国のGalixsys Networksもその1つだ。同社は早い時期に、モノのインターネットでは新たな方式のM2M通信が求められるようになるとみていた。

 インターネット上で現在使われているコードは、人間が読むことを想定したものであり、それゆえにテキストベースになっている。XML(eXtensible Markup Language)でさえ、ASCII(American Standard Code for Information Interchange)コードを用いており、Galixsysによるとこれはバイナリコードに比べて、処理に時間がかかり不経済な上に、セキュリティ面の懸念もはらんでいるという。

 そこで同社は、ネットワークのオーバーロードを防ぎつつ、クラックが不可能なセキュリティを促進するには、新たな方式のコードが必要になると考えた。この考えに基づいて同社は、リアルタイム制御向けにカスタマイズした独自のバイナリコードを開発した。これにより、コンパクトで高速かつ効率的な超高速のM2M通信が可能になるという。

 Galixsysの創設者でCTOを務めるSteve Jahnke氏によると、同社がとったアプローチは、「本質的には、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)の上にもう1つの層を追加して、そのネットワーク上にある全てのデバイスを人間の介在無く認識できる環境を作り出すというもの」である(図8)。同社はこのM2Mプロトコルを「Andromeda」と名付けており、「“どこでもネットワーキング”のコンセプトの実現を妨げていたハードルを引き下げられる」(同氏)としている。

図8
図8 HTTP層の上でAndromedaが機能する 出典:Galixsys Networks (クリックで画像を拡大)

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