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2012年のDRAM業界、苦境乗り越えプラス成長の見込みビジネスニュース 業界動向(1/2 ページ)

タイの洪水による需要の低下、いまだに止まらない価格の低下など、数々の苦難に見舞われ続けているDRAM業界だが、ここへきてようやく明るい兆しが見えてきたようだ。

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 米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、DRAMの世界売上高は、2011年における大規模な落ち込みから回復する兆しを見せ、2012年は3%を上回る成長率で伸びる見込みだという。

 IHS iSuppliは、こうした予測の根拠として、エルピーダメモリが2012年2月に会社更生法の適用を申請し、DRAM業界から離脱したことを挙げる。現在は、メモリチップ大手のMicron Technologyが、エルピーダメモリの支援企業を決める入札手続きを経て、買収の成立に向けた交渉を進めている最中だ。Micron Technologyはかねてから、エルピーダメモリの買収に成功した際には、同社の生産工場を少なくとも1カ所は存続させると公言してきた。しかし大方の予想では、エルピーダメモリの生産工場を一部閉鎖するか、またはNAND型フラッシュメモリの生産工場に移行するのではないかと考えられている。

 エルピーダの経営破綻に関しては、最終的な結末がいまだ不確かな上、資産の処分についても現在交渉中の段階にある。しかしIHS iSuppliによると、エルピーダメモリが業界を離脱したことによって、市場における供給バランスが戻りはじめ、競合各社がその恩恵を享受できるようになると期待が高まっているという(関連ニュース)。

 IHS iSuppliのDRAM/メモリ部門シニア主席アナリストを務めるMike Howard氏は、発表資料の中で、「エルピーダメモリの経営破綻は今後、極めて大きな影響を及ぼすだろう。DRAM市場は2012年全体を通して、従来の供給過剰の状態から、真に必要とされる供給バランスを確保できるようになっていく」と述べている。

 IHS iSuppliによると、DRAM市場の世界売上高は、2011年には296億米ドルだったが、2012年はその3%増となる306億米ドルに達する見込みだという。微増にとどまる程度にみえるが、2011年のDRAMの売上高が前年比25%減だったことと比較すれば、非常に好ましい展開だといえる。

 IHS iSuppliの予測によると、DRAMの世界売上高は今後5年の間、毎年300億米ドルを上回る見込みで、2016年には402億米ドル規模に達するとみられる。DRAM業界は、これまでにない業績を実現できると期待されている。

 Howard氏は、「DRAM業界は、2011年に数々の問題が発生したために、2012年は悲惨な状況に陥ると予測されていた。このため、2012年に好況が期待できるとする今回の予測は、意表を突くものだった」と述べている。

 同氏によると、2011年のDRAM市場における主要な問題は需要の低迷だったという。しかし、DRAM市場で長年にわたる悩みの種である過剰な生産能力についても、同じく重要な問題だと指摘している。

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