半導体の聖地でダイヤが採れる? 欧州メーカーがシリコンバレーに進出:材料技術
ルクセンブルクの合成ダイヤモンドメーカーであるElement Sixが、米国のシリコンバレーに製造工場を建設した。同社は、今後、顧客とのネットワークを作る上で、シリコンバレーが最適な立地だと判断したようだ。
シリコンバレーが誇る一連の技術的実績に、さらなる新項目が加えられようとしている。半導体の聖地が、今度はダイヤモンドの生産地としての顔も持つことになるようだ。合成ダイヤモンドメーカーであるElement Sixは、米国に初めて製造施設を開設した。早ければ2012年6月にも製品の出荷が開始される見込みとなっている。
Element Sixは、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)を導入し、高度に自動化されたこの製造施設での雇用に向けて、今後20名ほどの人員を採用する計画である。同社は、年間で数百万米ドル相当の合成ダイヤモンドを生産可能な2万平方フィート(約1858m2)の製造施設に、最大1000万米ドルを投資する計画だ。
CVDプロセスでは、真空チャンバーにガスとマイクロ波を注入して、基板上にダイヤモンド材料を生成する。合成ダイヤモンドの用途は多岐にわたり、エレクトロニクス業界で採用されるケースも増えている。
大型単結晶ダイヤモンドは、最先端のDRAMの配線に用いられる極細ワイヤーの押出成形にも活用されている。大型以外のダイヤモンド材料は、通信機器やパワー半導体用部品のヒートスプレッダとしても用いられている。Element Six製の合成ダイヤモンドは、高出力レーザーにも採用されている。
Element Sixの技術部門を率いるAdrian Wilson氏は、「当社が新たに開拓した市場の大部分は、その意思決定者たちが北米を拠点にしている」と述べた。なお、同社の製造施設はこれまで、英国の1カ所のみに限られていた。
同氏は、「Element Sixの合成ダイヤモンドは、軍用に採用される可能性が大きい。米軍に製品を供給するに当たっては、北米での製造を義務付けられる」と述べた上で、「半導体業界における意思決定者の多くは、現在でもシリコンバレー、もしくはシリコンバレーから飛行機で1〜2時間以内の場所に拠点を置いている。そのため、シリコンバレーは、顧客とのネットワークを作る上で格好の立地といえる」と付け加えた。
【翻訳:清藤康司、編集:EE Times Japan】
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