Appleの新型「MacBook Pro」でUltrabookの低価格化が加速か:ビジネスニュース
Appleが新型MacBook Proを驚きの低価格で発表した。これにより、Ulrabookを手掛けるPCメーカー各社は、さらなる低価格化を迫られることになりそうだ。
Appleは、台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2012」(2012年6月5〜9日)からわずか1週間とたたない6月11日(米国時間)に、新型の「MacBook Pro」を発表した。これにより、PCメーカー各社は、Ultrabookや超薄型ノートPCの値下げを迫られることになりそうだ。またAppleは、次期OSである「iOS 6.0」や「OS X」の新機能についても明らかにした。
Appleは、同社のノートPCシリーズを一新し、全機種においてIntelの新型プロセッサ「Ivy Bridge」を採用する。またMacBook Proシリーズでは、AMDのモバイル向け次世代GPU「Radeon」に切り替え、NVIDIAの新技術「Kepler」をベースとした「GeForce GT 650M」を搭載する。また、15インチのハイエンド機種は、「iPad」に搭載されている高精細ディスプレイ「Retina」を初めて採用したノートPCとなる。Retinaディスプレイの解像度は2880×1800ピクセルだ。16Gバイトメモリを搭載している。2199米ドルという驚きの低価格で販売される。
その他の製品シリーズでも、薄型化と低価格化を実現している。13インチのMacBook Proの価格は、エントリーレベルの1199米ドルだ。さらに、MacBook Airの11インチモデルは、エントリーレベル価格の999米ドルに値下げされている。
11インチと13インチ、15インチモデルは、高速シリアルインタフェース「Thunderbolt」ポート1つと、USB 3.0ポートを2つ搭載する。全機種ともSSD(Solid State Drive)を搭載し、厚さは0.68〜0.95インチ(1.7〜2.4cm)である。
ただ、今回Appleが発表した新製品のスペックや価格設定は、Apple製品に匹敵する薄型化と低価格化を目指しながら差別化に取り組んでいるPCメーカーにとって、大きな圧力となるだろう。
台湾のPCメーカー各社は、COMPUTEXの開催に先立ち、MacBook Airと同等レベルの性能を持つ自社製品のUltrabookが、高価すぎることについて検討していた。その要因として、筐体やSSD、リチウムイオンポリマー電池などのコストの高さを挙げている。そこで、差別化を図るための新製品として、寸法はやや大きいながら高性能かつ低コストの超薄型PCの実現に期待をかけようとしていた。ところが、Appleが新型MacBook Proを発表したことで、差異化のハードルが高くなってしまった。
しかし業界の観測筋は、この状況に対して異なる見解を示している。COMPUTEXに何度も参加しているある業界関係者は、今回のCOMPUTEXでは真に革新的と呼べる製品がほとんどなかったことから、2003年を最後に、公式に開催中止が発表されたコンピュータ関連の展示会「COMDEX」と同じ道をたどるかもしれないと指摘している。一方で他の関係者からは、Ultrabookや超薄型PCの台頭によって、PCメーカー各社が劇的な再起を遂げることができるとする見解も出ている。
PCメーカー側には、Appleに打ち勝つための秘策がまだ残っている。次なる大きな飛躍のチャンスは、2012年末に予定されているMicrosoftの新OS「Windows 8」のリリースだ。タッチスクリーンとARMベースのSoC(System on Chip)に対応した機種の実現に向け期待がかかる。
Intelは、COMPUTEXにおいて、「2012年7月中旬までに35機種以上のUltrabookが発表される予定である。2013年の投入に向けて110機種以上の開発が進んでいるところだ」と述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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