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Samsungの最新スマホ「GALAXY S III」を分解、クアッドコアのダイ写真も公開製品解剖 スマートフォン(2/2 ページ)

NTTドコモが来週6月28日に日本国内で発売するSamsungの最新Androidスマートフォン「GALAXY S III」。これに先んじて5月末に欧州で発売された同機種を入手、分解した。本稿では、Samsungの自社製クアッドコアプロセッサ「Exynos Quad」のダイ写真や、メインボードの写真を公開する。

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マルチチップメモリもイメージプロセッサもSamsung製

 この他、GALAXY S IIIには、複数のダイをまとめて単一のパッケージに封止したマルチチップメモリ品「KMVTU000LM」も搭載されている。これもSamsungの製品で、16Gバイトのモバイルフラッシュメモリと、eMMCコントローラを備える64MバイトのMobile DRAMが格納されている。

 GALAXY S IIIが搭載するSamsung製部品はこれだけではない。イメージプロセッサ「S5C73M3X01」も同社独自のものだ。BSI(裏面照射)型のイメージセンサーに対応したプロセッサであり、従来のGALAXYシリーズの分解では、搭載が確認されていなかったものだ。GALAXY S IIIがカメラ用に内蔵するBSI型イメージセンサー自体は、ソニー製の800万画素品だが(参考記事:CCDやCMOSを超える裏面照射型CMOSセンサーって?)、それとは別にSamsung自社製の190万画素イメージセンサー「S5K6A3YX14」も搭載している。

通信ボードの表面
GALAXY S IIIの通信ボード(表面) 出典:UBM TechInsights (クリックで画像を拡大)

 続けて、GALAXY S IIIの主要部品とそれらを供給するベンダーの顔ぶれを見ていこう。この新型スマートフォンで大型のデザインウィンを獲得したベンダーの1社がBroadcomだ。村田製作所の無線モジュールの内部に、Broadcomの無線LANチップ「BCM4334」が組み込まれている。このチップは、SamsungのGALAXY S IIとAppleの「iPhone 4S」に採用されていたBroadcomの従来品「BCM4330」の後継に位置付けられる製品で、40nm世代の半導体プロセスで製造する。IEEE 802.11a/b/g/n規格の無線LANに加えて、Bluetooth 4.0+HSとFM受信の機能を統合したコンボチップだ。従来品に比べて消費電力を削減可能なため、消費電力量が大きい4G(第4世代)の通信規格であるLTE(Long Term Evolution)にスマートフォンを対応させる上で不可欠な要素だといえる。

 Intelは、2011年に買収したInfineon Technologiesの無線チップ事業の製品ラインアップでデザインウィンを獲得した(参考記事:インテルがインフィニオンの無線事業買収を完了、新会社「Intel Mobile Communications」が始動)。具体的には、GALAXY S IIIにベースバンドプロセッサ「X-GOLD 626 PMB9811」を供給する。PMB9811は、GALAXY S IIやGALAXY Note、GALAXY Nexusにも採用されており、Samsung Electronicsの設計エンジニアがこのチップに厚い信頼を寄せていることをあらためて実証した格好だ。この他Intelは、GALAXY S III向けに旧Infineon Technologiesの製品ラインアップからGSM/CDMA対応の高周波トランシーバ「PMB5712」も提供している。

通信ボードの裏面
GALAXY S IIIの通信ボード(裏面) 出典:UBM TechInsights (クリックで画像を拡大)

 アナログ半導体ベンダーのMaxim Integrated Productsも、電源管理チップ「MAX77686」と「MAX77693」でデザインウィンを手にしている。同社は、長年にわたってSamsung Electronicsとの協業関係を構築しており、これまでにも主にGALAXY S IIやGALAXY Note、GALAXY Nexusなどに向けて同様の電源管理チップを提供してきた。

 Skyworks Solutionsも、以前からSamsung Electronicsにパワーアンプモジュールやアンテナスイッチ、LEDドライバなどを供給しており、GALAXY S IIIでも4品種の採用を獲得した。同社は2012年に入ってから、iPhone 4SやiPadの第3世代品、GALAXY Noteなどでもデザインウィンを勝ち取っている。

 STMicroelectronicsは、GALAXY S IIIの主要なセンサーとして、加速度センサーと角速度センサー(ジャイロスコープ)をまとめたモジュール品「LSM330DLC」と、MEMS圧力センサー「LPS331AP」を提供している。Cypress Semiconductorは、「PSoC CapSense」ブランドで展開する静電容量方式のタッチパネルコントローラ「CY8C20236A」でデザインウィンを獲得した。NXP Semiconductorは、NFC(Near Field Communication)用チップを供給している。

 GALAXY S IIIは、発売前の予約注文数が900万台を超えており、Samsungのこれまでの製品の中でも特に高い期待を集めている。各種部品の選定における同社の取り組みや、洗練されたデザインなどから見ても、GALAXY S IIIを予約したユーザーが期待を裏切られるようなことはないだろう。

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