LTE対応スマホの販売に弊害? 原因はベースバンドチップの供給不足:ビジネスニュース
LTEに対応したスマートフォンとタブレット端末の需要は、予想以上に高いという。しかし、LTEベースバンドチップの供給不足により、こうした高い需要に応えられなくなる可能性がある。
LTE(Long Term Evolution)に対応したスマートフォンおよびタブレット端末の需要は、当初の予想をはるかに上回っている。しかし、LTEに対応したQualcommのベースバンドチップの供給が不足していることから、Samsung ElectronicsやLG Electronics、HTCといった世界的なスマートフォンメーカーは、需要の高まりに見合うよう出荷できるかどうかを懸念している。3G(第3世代)/4G(第4世代)の両方に対応するマルチモードのベースバンドチップを提供しているのは、現時点ではQualcommのみである。
LTEを推進する主要な携帯キャリアとしては、米国のVerizon Wireless、AT&T、Sprint、カナダのRogers、韓国のKTおよびLG+、そして日本のNTTドコモなどが挙げられる。LTEに対応するモバイルブロードバンドサービスは、西ヨーロッパの7カ国でも既に提供されている。
現在、37カ国で72のLTEネットワークが商用化されている。2012年末には57カ国で134のLTEネットワークが商用化される見込みだ。
2012年におけるLTE対応スマートフォンの世界需要は、2600万〜2800万台に達する見込みだ。これは、前年比で275%の増加となる。また、2012年のLTE対応タブレット端末の出荷台数は580万台に上るとみられる。LTE対応のスマートフォン/タブレット端末を扱う通信キャリアとしては現在最大手であるVerizon Wirelessは、2012年第1四半期に290万台、当会計年度の初めから現在までに800万台を販売した。
QualcommのLTEベースバンドチップの供給不足は、28nmプロセスの生産能力が不十分なことが原因だと言われており、これは2012年第4四半期まで緩和しないとみられる。Samsung、LGおよびMotorolaは、シングルモードのLTEベースバンドチップを搭載したLTE対応スマートフォン/タブレット端末を提供することも可能だが、その場合、フォールバック向けに別途3Gモデムを採用する必要があるという。
Samsungは2012年第1四半期、LTE対応スマートフォンの世界市場で59%のシェアを獲得し、同市場では最大手となった。その後にMotorola Mobility(13%)、LG(10.8%)、HTC(9.5%)が続く。
LTE対応スマートフォンに最も多く採用されているOSはAndroidだが、NokiaとHTC、Samsungは、Microsoftの「Windows 7 Mobile Phone」を採用したLTE対応モデルも既に投入している。また、AppleとRIM(Research In Motion)は、独自のプラットフォームを採用した機種を2012年第2四半期に発売する見込みだ。「Windows 8」を採用したタブレット端末の登場は、早くても2012年第4四半期になるとみられている。
2012年第1四半期の世界タブレット端末市場では、Appleの「iPad」の第3世代機が30%のシェアを獲得して首位に立った。第3世代のiPadは、LTEに対応している。2位以下に、Samsung(26%)、HTC(19%)、Motorola Mobility(8%)、富士通(8%)が続く。今後、2012年中には、ASUS、Huawei、ZTEがLTE対応タブレット端末を市場に投入する見込みだ。
LTE対応スマートフォンを積極的に投入する主要メーカーとしては、Apple、Samsung、HTC、LG、Nokia、Motorola、Pantech、富士通などが挙げられる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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