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LTE対応の携帯電話市場で存在感強めるSamsung、シェアは6割超ビジネスニュース 企業動向

Samsungは、2012年中にLTEに対応した携帯電話機を大量に投入するという。LTEの次世代規格「LTE-Advanced」への対応には遅れが発生しているようだが、同市場におけるSamsungのけん引力は増している。

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 Samsung Electronicsは、13社の通信キャリアが提供するLTE(Long Term Evolution)ネットワークに対応した携帯電話機を、2012年中に25機種発売する予定だという。一方で、LTEの次世代規格である「LTE-Advanced(Release 10)」への対応は多少遅れているとみられる。

 SamsungがRelease 10に対応した携帯電話機を発売するのは2013年秋になる見込みだが、Qualcommは、Release 10の機能にのみ対応するチップセットの試作品を既に開発している。

 T-Mobile USAは、Release 10に初めて対応したLTEネットワークサービスの提供を2013年初頭に開始する予定だ。同社でCTO(最高技術責任者)を務めるNeville Ray氏は、次世代モバイル通信ネットワークの策定団体であるNGMN(Next Generation Mobile Networks)が米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催した「NGMN Industry Conference & Exhibition」(2012年6月13〜15日)で、「新たなネットワークサービスを立ち上げるためには、そのネットワークに対応した携帯電話機の発売が前提条件となる」と述べた。さらに同氏は、現在80のLTEネットワークサービスで347機種のLTE対応携帯電話機が利用されていると説明した。

 Release 10には、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)と呼ばれる重要な機能がある。隣接していない搬送波を束ねることで40MHz幅もの広帯域チャネルを構築することができるというものだ。結果として、より大きなネットワーク容量と、より高速なピークデータレートを実現することが可能になる。

 T-Mobileは隣接していない搬送波を抱えているため、キャリアアグリゲーションのような技術を必要としている。また、AT&TなどのT-Mobileの競合先も、搬送波の利用が全体的に限られていることから、同技術を重要視している。

 また、Release 10には、セル間干渉を抑制するという新たな特長がある。これにより、小型基地局と大型基地局がセルラーネットワーク上に共存することが可能になる。通信キャリアは、特に人口が密集した都市圏のネットワーク容量を拡大すべく、小型基地局の導入を望んでいる。小型基地局と既存の大型基地局(いわゆるマクロ基地局)が円滑に共存できるようにするためにも、セル間干渉を抑制する技術は不可欠だろう。

 Samsungで規格および技術部門のシニアバイスプレジデントを務めるJoon Hoo Park氏がNGMN Industry Conference & Exhibition で述べたところによると、Samsungは2012年中にLTE対応の新型携帯電話をアジア向けには8機種、米国向けには6機種投入する予定だという。また2012年秋には、今後T-Mobileが採用する見込みの音声通話サービス「Voice Over LTE」に対応した携帯電話機を発売する計画だ。

 Samsungは、メールやインスタントメッセージを統合したサービス「Rich Content Media」に対応した携帯電話機の発売も予定している。多くの通信キャリアがこのサービスを提供しているが、サードパーティが提供するWebベースのアプリケーション(アプリ)と比較すると、品質は標準以下であるという批判の声もある。

 SamsungのPark氏は、Release 10に対応した携帯電話機の投入が比較的遅れている理由を問われ、「単にスケジューリングの優先度の問題」と答えた。なおSamsungは、LTE対応の携帯電話市場で現在66%のシェアを獲得しているという。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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