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AMD、PC向けプロセッサの売り上げが低迷ビジネスニュース 企業動向

AMDのPC向けプロセッサの売り上げは低調が続いている。この原因の1つには世界経済の減速もあり、同社のCEOは「PC向けプロセッサの成長曲線を描き直す時が来ている」との見解を述べている。

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 AMD(Advanced Micro Devices)は、2012年第2四半期の売上高が前期比で11%下落し、2012年第3四半期の売上高も1%程減少する見通しだと発表した。これにより、同社のPC向けプロセッサの年間売上高成長率は、長期にわたって1桁台に落ち込む可能性があることが明らかになった。

 AMDのCEO(最高経営責任者)であるRory Read氏は、金融アナリストとの電話会議で、「経済活動が世界的に減速していることは明らかであり、PC向けプロセッサの成長曲線を描き直す時が来ていると認識している」と語った。

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 Read氏によると、「クライアントPCの売上高は過去3四半期にわたって減少し続けており、過去7四半期についてはこれまでの平均売上高を下回っている。さらに、民生用ノートPCの売り上げも全般的に減速しており、特に中国や欧州での小売販売が低迷している」という。

 同氏は、「今後、PCエコシステム全体が厳しい状況に直面すると予想される」と述べた。

 同氏はまた、短期的な展望についても語った。「マクロ経済の逆風は、次四半期も続く見通しだ。このため、ノートPCの売り上げ低迷は2012年の後半も続くと予想される。ただし、Microsoftの『Windows 8』が2012年10月に発売されるのを受け、機器メーカーは徐々にではあるがPCの在庫を増やしている」(同氏)。

 米国の市場調査会社であるInternational Data Corporation(IDC)は1年前、PC向けプロセッサの売上高の成長予測を10%から9.3%に下方修正した。IDCは、2012年の半導体市場の成長予測についても、6〜7%から4.3%に下方修正している。

 Read氏は、「クライアントPC市場において、ARMの成長は当面、減速するだろう」としながらも、「ARMベースのシステムは、今後3年以上にわたって大幅な成長を遂げる」と予想している。一方、Windowsベースのタブレット端末については、「今後3年以内にタブレット市場で20%のシェアを獲得するだろう」と述べている。

 AMDの2012年第2四半期の売上高は14億1000万米ドルで、2012年第1四半期から11%、2011年第2四半期からは10%減少した。純利益は3700万米ドルで、5億9000万米ドルの損失を計上した2012年第1四半期に比べると回復した。だが、純利益が6100万米ドルだった2011年第2四半期に比べると減少している。

 AMDのチャネルパートナーは、32nmプロセスのAPU(Accelerated Processing Unit)「Llano」の供給不足のため、2011年末までは同製品を入手できない状況にあった。小売業者は、Llanoの入荷を待っていたので、マザーボードの在庫が増えている状況だった。Llanoの供給不足は、2012年第2四半期のAMDの成長率低迷にも影響を及ぼしているとみられる。

 しかし、AMDは2012年3月にGLOBALFOUNDRIESとのウエハー供給契約を改定し、28nmプロセスでの半導体製造をGLOBALFOUNDRIES以外のファウンドリに発注することも可能となったため、供給不足は解消された(関連ニュース)。AMDは、同社のプロセッサとWindows 8を搭載した超薄型ノートPCが発売されることを期待している。

 AMDのプロセッサ販売価格は、年々下がっている。AMDは、2012年に同社初となる28nmプロセスのグラフィックスプロセッサを投入し、さらに2013年には28nmのPC向けプロセッサを出荷して、こうした状況を打破したい考えだ。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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