―実践編(目次)――英語に愛されない私たちの行動原理「目的は手段を正当化する」:「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(5)(1/2 ページ)
今回から「英語に愛されないエンジニアのための新行動論」の実践編に入ります。エンジニアが海外に出張または赴任したときに突き当たる困難にいかに立ち向かうか、10回に分けて解説します。私たち「英語に愛されないエンジニア」は、異国の地で泥を啜(すす)っても、仕事を完遂するのです。そのための手段に是非はありません。
われわれエンジニアは、エンジニアである以上、どのような形であれ、いずれ国外に追い出される……。いかに立ち向かうか?→「『英語に愛されないエンジニア』」のための新行動論」 連載一覧
今回から「英語に愛されないエンジニアのための新行動論」の実践編に入ります。しかし、実践編の導入部だけで連載の4回分を使い切るというこの私の無謀さ、無策さからして、予定くらいは立てておかないと、この連載がどこに行ってしまうのか分かったものではありません。そこで、私がこれからの連載で執筆を予定している「英語に愛されないエンジニア」のための10の新行動論の概要(目次)を説明させていただきます。
(準備編)英語に愛されないことは私たちの責任ではない
準備編としてお伝えしたいメッセージは、「私達が『英語に愛されないエンジニア』となってしまったことは、私たちの責任ではない」ということです。次回からの本編では、この責任の所在については「おりこみ済み」として、この連載では二度と「言い訳」として使えないようにします。
(1)パラダイムシフト編(前編、後編)
「英語に愛されないエンジニア」である私たちが立ち向かわなければならないものは、「英語」ではありません。私たちが既に陥っている「英語」に関する誤解を解いていただいた上で、私たちが本当に必要とし、利用するものの正体を明らかにします。さらに、それを取り扱うために、私たちが到達しなければならないパラダイムと、そのパラダイムへのシフト方法についても説明します。
(2)文献調査編
英語で記載された文献を、いかに短時間で手を抜きつつ理解するか、あるいは理解したかのように自分を納得させるか……。さらには、上司や同僚に「あなたが理解した」かのように思わせるか(誤認させるか)という点に注力して説明します。
(3)資料作成編
英語で資料を作る場合に、どのようにすれば英語の資料として完成しているかのように「見せるか」という所に力点を置いて説明します。加えて、実際の業務資料としても使えるようにするか、という方法についても解説します。
(4)海外出張準備編
ここでは「英語」という観点を離れて、海外出張を命じられた場合の準備について、私の体験談などを紹介します。特に、時差ボケ対策に必要不可欠な睡眠薬の合法的な入手方法や、やってはならないアルコールとの組み合わせなどについて、私の「命をかけた」ノウハウを公開します。もちろん、日本医師会やその他の医療機関からの矢のような批判は覚悟の上です。
(5)出国・入国、ホテルチェックイン編
成田空港での出国審査は、まあなんとかなるとして、問題は入国審査です。私の目の前で、入国審査官に拉致されて小部屋に消えていった後輩の体験談も交えながら、海外出張の入口でつまづいてしまう辛さについて、そして、ホテルフロントとの会話において、想定されるトラブルとそのトラブルシューティングについて、とくと説明します。
(6)プレゼンテーション編
この辺りから本格的に、「英語に愛されないエンジニア」として、本領を発揮する「秘伝」を公開します。ポイントは、非核3原則と同じです。英語での議論が必要になるような話題を「持たない」、「作らない」、「持ち込ませない」です。
(7)質疑応答・打ち合わせ編
ここが、本連載の最大の山場になります。「英語を使わない英会話」というむちゃな打ち合わせ方法を提示します。ただし、この技は、相当に周到な準備が必要であり、場合によっては、皆さんを失意または激怒させるかもしれないことを、あらかじめご了承ください。
(8)赴任編(インターミッション)
ちょっと例外的ですが、万一、海外に長期間送り込まれることになった場合の生活インフラの立ち上げや、どのように家族のメンタルをケアするべきか……ではなくて、あなたが、家族にどのようなメンタルケアを「してもらうか」を説明します。海外で闘うのは「あなた」だけではなく、家族も含まれており、その責務から、家族の誰も「逃げられないこと」を、きっちり分かっていただきます。
(9)撤収編
海外出張が、望む形で完了したとしても、目も当てられないような悲惨な形で終わったとしても、どのような結果であれ、私たちはこの出張の「落とし所」を見つけて、撤収を図らなければなりません。人類史上いかなる戦争においても極めて難しいとされてきた「撤収作戦」を、海外出張の観点に置き換えて、私の経験を交えつつ説明します。
(10)報告編
会社の命令によって出張してきた以上、報告書の提出や、報告会でのプレゼンテーションは不可避です。報告は客観的かつ具体的に行う必要があります。しかし、本連載の「新行動論」においては、「あなた以外は、誰もその場にいなかった」という事実に特にスポットを当てます。「どんな報告をしたところで、誰にも分かりゃしない」という観点から、十分なサポートを行うことなく私たちを海外に送り込んだ者たちへの、ささやかな報復についても論じます。
インタビュー相手も募集中!
その他、我が国のエンジニアの英語教育に関して責任のある方へのインタビューなどにも挑戦したいと考えています。思い付くのは、やはり文部科学省や経済産業省、外務省の大臣閣下、あるいは事務次官の皆さまです。それが駄目なら担当部署の責任者の方々、それも駄目なら匿名インタビューでも、私の門戸は広く開いております(本気です)。ご希望の方は、編集部でも私に直接でも結構ですので、ご連絡ください。
さて、正直に申し上げて、こういう、脱法的というか、背任的というか、信義則違反というか、そういう「技」を公開することが、本当に皆さんの利益になるのかと考えると、私も相当に悩んだり ―― などは、これっぽっちもしておりません。
「英語に愛されないことは私たちの責任ではない」ことは、前回明かにしました。そして、英語に愛されない者の、愛されない者なりの闘い方が、正々堂々として、清く正しいものになるなどという、そんな都合の良い話があるわけがありません。私たち「英語に愛されないエンジニア」は、異国の地で泥を啜(すす)っても、仕事を完遂するのです。そのための手段に是非はありません。いにしえよりの格言通り、「目的は手段を正当化する(The end justifies the means. )」のです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.