4Kから8K、そしてIGZO――進化するテレビを支える先端技術:CEATEC 2012(2/3 ページ)
「近未来のテレビにワクワクする」のもCEATECの楽しみの1つ。“フルHDの次のテレビ”として期待されている4Kテレビやスーパーハイビジョン(8K)、そして話題のIGZOなど、先端技術を駆使したCEATEC出展のテレビを集めてみた。
大画面だけではない近未来ディスプレイ「IGZO」
もちろん4Kのメリットは大画面だけではない。シャープのブースでは、同社のIGZO技術を採用した32V型の4Kディスプレイにタッチパネルを搭載し、「家庭の情報端末」としての4Kテレビの可能性を紹介していた。
IGZOはIndium(インジウム)、Gallium(ガリウム)、Zinc(亜鉛)、Oxygen(酸素)から生成される酸化物半導体で、シャープが世界で初めて量産化に成功している。今回のCEATECでは、優れた技術・製品に贈られる「CEATEC AWARD 2012」で、IGZOが経済産業大臣賞を受賞した。
IGZOは電流を流す速度(電子移動速度)が従来のアモルファスシリコンに比べて20〜50倍も速く、同じ駆動電力であればより小型で高精細なディスプレイを実現できる。また可視光を透過する薄膜となるため、電流OFFの状態でも画面表示が可能となり、バックライト点灯を抑制して消費電力を大幅に下げることも可能だ。
シャープのブースでは6.1型という小型サイズで2560×1600画素(498dpi)というスマートフォン/タブレット向けの超高精細なIGZOディスプレイが参考出展されていたほか、IGZOの低ノイズ性能を生かした高感度タッチパネルの応用例などが紹介されていた。
「IGZOならではの休止駆動をノイズ削減に生かし、ディスプレイ表示の駆動電流を流さない状態でタッチパネルのセンシングが行える。これにより、これまで駆動電流によって発生していたノイズを削減することができ、より高感度でのタッチパネルセンシングが可能になった。高精細ディスプレイでのタッチパネル操作や、微細な筆跡や微妙な筆圧での手書き機能などが実現できる。家庭の情報端末への活用など無限の可能性を秘めている」(シャープブース担当者)。
そのほか、パナソニックは医療分野など特定用途向けに開発している20V型の4Kディスプレイを展示。開口率が非常に高い画素構造を持つIPSα液晶パネルにより、従来のフルHDパネルと同等の消費電力で216dpiという高精細化を実現している。また新しい液晶配向プロセス技術によって斜め方向の視野角特性を大幅に向上させており、より広い角度からの閲覧を可能にしている。
このように家電各社が4Kテレビへの取り組みをアピールする一方で、三菱電機は現行の赤色レーザーをLEDバックライトと組み合わせて色再現性を向上させた“REAL LASERVUE”MDRシリーズの展示にとどまり、また年初に薄型テレビ生産の撤退を発表している日立製作所はテレビ自体を展示しないなど、“CEATECの華がテレビ”だった時代の終焉を感じさせる動きも見られた。
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