パナソニックがReRAMマイコンを展示、 書き換え時間がフラッシュマイコンの1/5に:ET2012
パナソニックが、抵抗変化型RAM(ReRAM:Resistive RAM)を搭載したマイコンを参考出品した。フラッシュマイコンに比べて5倍のデータ書き換え速度を実現しており、0.9Vの低電圧で動作するという。
パナソニックは、「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展(ET2012)」(2012年11月14〜16日、パシフィコ横浜)において、抵抗変化型RAM(ReRAM:Resistive RAM)を搭載したマイコン(以下、ReRAMマイコン)を参考出品した。
抵抗値で「0」か「1」かを判断するReRAMは、従来のNOR型フラッシュメモリに比べて高速に書き換えができ、書き込み動作に必要な電圧が低いという特長を持つ。
今回展示したReRAMマイコンは8ビットで、ReRAMの容量は128Kバイトである。従来のNOR型フラッシュメモリに比べて、データ書き換え時間を平均で約1/5に短縮できるという。また、1.8Vの電源電圧で書き換えが可能だ。データの書き換え回数は、フラッシュメモリの1万回に対して、ReRAMは10万回となっている。
パナソニックの担当者は、「動作電圧が0.9Vと低いので、これまでのフラッシュマイコンでは狙えなかった市場を開拓できる可能性がある。まずは、メモリの容量が128Kバイトあれば十分だと考えられる用途を狙う」と述べる。こうした用途は、例えばスマートメーター、血圧計や血糖計といったヘルスケア用品、センサー制御機器などがある。
ただし、ReRAMマイコンがフラッシュマイコンに完全に置き換わるかというと、「現時点ではそうはならない」(パナソニックの担当者)という。「ReRAMマイコンは確かに低消費電力だが、低コスト化を図る必要があるし、何よりまだ実績がないので、採用をためらう顧客もいるだろう。また、大容量という点ではフラッシュマイコンにはかなわない。しかも、大容量のメモリを搭載したマイコンが必要になるようなシステムでは、マイコン1個の消費電力など、システム全体の消費電力に比べれば誤差のようなもの。低消費電力というReRAMマイコンの利点がしっかり生かせるような用途ではReRAMマイコンを、それ以外の用途では価格も低いフラッシュマイコンを、というように、すみ分けを図るのがいいのではないか」(パナソニック)。
訂正あり
記事の掲載当初に、下記の誤りがありました。
・「NAND型フラッシュメモリ」→「NOR型フラッシュメモリ」の誤り
・書き換え速度を比較するデモで、書き換え時間が1/5になっていないのは「データ量のため」としていましたが、正しくは「データ転送時間が含まれているため」です。
お詫びして訂正致します。
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