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マイコンの進化を不揮発メモリが助ける、パナソニックが「ReRAM」を採用メモリ/ストレージ技術 ReRAM

新規の不揮発メモリが次々と最終製品への応用段階に進み始めた。SSD向けの「MRAM」、携帯電話機向けの「PRAM」、そして今度はマイコン向けの「ReRAM」だ。ReRAMは少ない電力で動作し、高密度化も可能な優れた性質を備える。パナニックはReRAMマイコンで、低消費電力が求められるスマートメーターやスマートフォン市場を狙う。

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 パナソニック デバイス社は、2012年5月15日、長期間にわたって電池駆動が求められる機器に適した不揮発マイコンを開発したと発表した。同社によれば「ReRAM」(Resistive RAM:抵抗変化メモリ)を初めて採用したマイコンだという。スマートメーターやヘルスケア機器などに向くマイコンだ。電池の持ち時間を延ばすことが可能になるため、スマートフォンへの採用も狙う。2012年5月末までに同マイコンのサンプル出荷品を用いた「評価用スタータキット」の提供を開始する*1)

*1) 同社の北陸工場砺波地区の0.18μmラインに生産体制を構築した。

 消費電力は4μW以下(電源電圧0.9V、32kHz動作時)と小さい。1.8Vで駆動した場合、動作電流は同社のマイコン「AMシリーズ」比で50%削減、クロックカウント時の動作で80%削減できる。

ReRAM採用で実現

 不揮発マイコンの消費電力を小さくするには幾つかの手法がある。その1つが、マイコンの内蔵する不揮発メモリに書き込む際、必要な電力を抑えることだ。同社は、ReRAMをマイコン内部に採用したことで実現した*2)。ReRAMはNAND型フラッシュメモリなどと比べて低電流、短時間でデータの書き換えを実行できる性質がある。今回のマイコンでも同社のフラッシュマイコンと比べて5分の1の時間でデータを書き換えられるという。

*2) ReRAMの1メモリセルは、上部電極と下部電極の間にTa(タンタル)酸化物が挟み込まれた構造を採る。電圧を印加するとTa酸化物の抵抗値が変化し、その後電圧の印加を止めても高抵抗状態と低抵抗状態の2つの安定状態のどちらかを維持する。これがビットの「0」と「1」を表す。ReRAMメモリセルの書き換え時間は10nsと短い。1T1R(1トランジスタ1抵抗)で1つのメモリセルを構成できるため、記録密度向上にも向く。4F2というセルサイズが実現できる。

 開発した8ビットマイコンは同社の「AMマイコン」シリーズと互換性がある。ReRAMをプログラムやデータを記録するストレージメモリとして利用した(表1)。


表1 ReRAMマイコンを使ったシステム構築が可能に 評価用スタータキット向けサンプルの概要を示した。ReRAMは、マイコン内でプログラムとデータの保持のために使われている。評価用スターターキットをPCのUSB端子に直接接続し、専用のソフトウェア開発環境を起動することで、ソースコードの編集、コンパイル、マイコンへの書き込みを実行できる。出典:パナソニック デバイス社

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