ルネサスの官民支援策、産革機構とトヨタら取引先8社が合計1500億円出資:ビジネスニュース 企業動向
経営再建中のルネサス エレクトロニクスが12月10日、産業革新機構の他、大口顧客である取引先8社から第三者割当で合計1500億円を調達する方針を発表。この件で同社は10日の午後5時半から東京都内で緊急会見を開く。同社の代表取締役社長である赤尾泰氏と、産業革新機構の代表取締役社長である能見公一氏が出席する予定だ。
経営再建中の国内半導体大手ルネサス エレクトロニクスは2012年12月10日、第三者割当によって1500億円を調達する方針を発表した。官民ファンドの産業革新機構の他、ルネサスの大口顧客である取引先8社が割当先となり、出資する形だ。具体的な出資額は、産業革新機構が約1383億5000万円、トヨタ自動車が50億円、日産自動車が30億円、ケーヒンとデンソーがそれぞれ約10億円、キヤノンとニコン、パナソニックがそれぞれ約5億円、安川電機が1億5000万円である。
ルネサスは、この第三者割当増資によって調達した1500億円の資金を、以下のように活用するとしている。すなわち、(1)マイコンの先端プロセス開発および開発基板の標準化に400億円、(2)生産(試作・量産)に用いる設備に200億円、(3)自動車向け半導体のソリューション事業に400億円、(4)産業向け半導体のソリューション事業に400億円、(5)経営基盤再構築のための開発に100億円をそれぞれ投じる計画だ。
(1)では、マイコンの製造に向けて28nm世代の先端的な半導体プロセスを開発するとともに、開発基盤の標準化にも資金を投じ、「マイコン市場で他社の追随を許さない圧倒的なポジションの確保を図る」(同社)とする。(2)では、量産中の既存プロセスの収益性向上や開発済み先端プロセスの競争力強化のための設備投資に加え、アナログに向けたプロセス技術の微細化やウエハーの大口径化のための設備投資を行い、製品競争力を強化する考えだ。
(3)と(4)のソリューション事業については、自動車向けと産業向けで高い市場シェアを握るマイコンを軸に、各市場の顧客企業にマイコンと組み合わせて提案するアナログICやパワー半導体の技術力強化や、ラインアップ拡充のための事業買収(M&A)や協業を推進するという。さらに、ソリューション提案力を強化すべく、組み込みOSベンダーやIPコアベンダーのM&Aや協業、新興国における独立系デザインハウスとの協業やM&Aも進めるとしている。
(5)では、市場の急激な変化に即応できる意思決定のスピードアップを目的とした事業評価システムの改善や、生産設備の耐震強化、マルチファブ化などを実施していくという。
なおルネサスはこの第三者割当増資について2012年12月10日の午後5時半から東京都内で緊急会見を開く。同社の代表取締役社長である赤尾泰氏と、産業革新機構の代表取締役社長である能見公一氏が出席する予定だ。 会見の内容については、追って報じる。
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