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目指すはプロフェッショナルいまどきエンジニアの育て方(17)(1/2 ページ)

若手エンジニアも、やがてマネジメント職に就くときがきます。マネジャーには主に、さまざまな知識やスキルが求められる“ゼネラリスト”と、テクニカルスキルの占める割合が多くなる“スペシャリスト”の2つのタイプがあります。エンジニア出身のマネジャーは、どうしてもスペシャリスト的な要素が強くなるのですが、これからは“ゼネラリスト”と“スペシャリスト”の両方を備える「プロフェッショナル」を目指したいものです。若手に技術以外のスキルもバランスよく身に付けさせることが大事になっています。

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「いまどきエンジニアの育て方」連載一覧

 田中課長は、「若いうちにエンジニアとしての専門性を高めること」や、「開発部門だけでは製品はできないこと」を、佐々木さんに伝えてきました。

 これまで、開発部門の後工程となる製造部門(第14回)や、前工程である企画・マーケティング部門(第15回)を見てきました。自部門だけではなく、関連部門のお互いの仕事を良く知ること、すなわち、部門間でのコミュニケーションは製品開発に大きな影響を与えます。田中課長は、2年目エンジニアである佐々木さんと加藤さんに、製品の企画/コンセプトメイキングの大切さ(第12回)を学ばせるため、製品コンセプト会議に参加させました(第16回)。これは、開発部門の新しいOJT(On the Job Training)の1つかもしれません。

 さて、田中課長はあれこれと画策していますが、田中課長は、佐々木さんをはじめ、今後入社してくる若手エンジニアの育成についてどう考えているのでしょうか? 今回はエンジニアのキャリアデザインについてお話します。

生涯、技術を追い続けるのか?

新卒で入社して30代半ばに差しかかるときに、当社では皆一様に「何となく」管理職になるけど、管理職にもいろんなタイプがいるよね。


どうしたんです? 急に。


いや、僕はずっと技術畑一筋で他のことはあまり知らないんだ。松田課長は中途入社ってこともあるけど、技術だけでなく幅広くマーケティングやマネジメントにも精通してるよね。僕自身は、「自分=(イコール)“スペシャリスト”である」と勝手に思い込んでるところがあるなと。


スペシャリストを“専門職”と呼ぶ企業もありますね。かなり昔からある言葉です。


専門職は生涯、技術を追いかけているイメージがあるけど、自分を見てるとちょっと不安にもなるんだ。


……と言いますと?


僕自身は元々、開発設計の仕事が大好きだから、技術の仕事からは離れたくない。ただ、最新技術には、とてもじゃないけどついていけないんだ。


確かに、分野によっては若手の方がよく知ってますよね。


おまけに、僕はコミュニケーションが得意ではないし、マネジメントがちゃんとできているかと問われると、堂々と「はい」とは言い切れない。


以前に3つのスキルの話(第13回の図2参照)をしたと思いますが、若手エンジニアが育っていく2つのマネジャータイプを絵にしたので、見てもらえますか?


スペシャリストか、ゼネラリストか

 図1をご覧ください。


図1 マネジャーの2つのタイプ

 図1の左側は、一般的な部課長クラスのミドルマネジメントに求められるスキルバランスです。ここでは「若手エンジニア」と書いていますが、エンジニアに限ったことではなく、事務の仕事でも成り立つものです。「マネジメント型マネジャー」へと進み、“ゼネラリスト”的な要素が求められます。

 一方で、元々エンジニアとしてスタートした開発部門のマネジャーは、図1の右側のような「エンジニア型マネジャー」になるケースが多く見受けられます。このタイプは、テクニカルスキルの占める比率が高く、“スペシャリスト”的な要素が強くなります。先ほどの松田課長の話に登場したように、これを専門職として、人事制度に明確に位置付けている会社もあります。

 「マネジメント型マネジャー」と「エンジニア型マネジャー」は、そもそも必要なスキルが異なるため、別々の職種として考えてもいいくらいなのですが、会社としての人事制度は1本なので、たとえ会社としてはマネジメント型マネジャーを求めていても、現実にはエンジニア型マネジャーになってしまっていることはよく見受けられます。

 川崎テックデザインの開発課の田中課長はエンジニア型マネジャーのようです。

 図1は、どちらが開発部門のマネジャーに適しているかを示すものではありません。若手エンジニアがやがてマネジャー職に就くときに、ゼネラリスト(マネジメント型マネジャー)を目指すのか、スペシャリスト(エンジニア型マネジャー)を目指すのか、それをきちんと考えなければならないということです。“自称スペシャリスト”といえども、田中課長が心配しているように、生涯、技術の最前線で走り続けることはなかなか難しいからです。

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