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10GBASE-SRチップが登場の見込み、スイッチの低消費電力化を実現可能に有線通信技術

10GBASE-SRに準拠したイーサネットチップが間もなく登場する見込みだ。このチップを利用すれば、データセンター向けスイッチの小型化や低コスト化、低消費電力化が実現される。ただし、10GBASE-Tでは100mと規定されている最大伝送距離は必ずしもサポートされない。

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 10GBASE-SR(Short Reach)に準拠したイーサネットチップが間もなく登場する見込みだ。そのチップにより、データセンター向けスイッチの小型化や低コスト化、低消費電力化などを実現できる可能性が広がることになる。

 10GBASE-SRに準拠するこのPHYチップを使えば、ポート当たりの消費電力を現状の4Wから1.5Wに削減できるという。これは、データセンター向けの10Gトップオブラック(ToR)スイッチの消費電力を、現状の250Wから60Wに削減できる可能性を意味する。このような低消費電力化が進めば、より安価な電源や部品などを使用できるようになる。そうすると、既存のギガビットスイッチ並みの小型化/低コスト化を実現可能になる。

 このPHYチップがこれまでと大きく異なるのは、10GBASE-Tの規格では100mとされている最大伝送距離を、必ずしもサポートしなくてもよいという点だ。通常、既存のデータセンターで必要とされる接続距離は、ラック内で5m、アグリゲーションスイッチに対して30m程度である。Applied Micro Circuitsでテクノロジー担当シニアディレクタを務めるDan Dove氏は、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Linley Tech Data Center Conference 2013」(2013年2月5〜6日)において、「10GBASE-Tの規格では、伝送距離に関する要件が厳しすぎたようだ。そのため、40Gの実現に向けた新たな取り組みでは、その点を見直す必要があるとの判断に至った」と述べている。

 従来、イーサネットの規格における最大伝送距離は100mとされてきた。しかし、「10Gでは、最後の20mが問題となっていた」(Dove氏)という。

 IEEEの40GBASE-Tグループは、Dove氏からの提言を受けて、その実現に向けた取り組みを開始した。具体的には、10Gの仕様を取り込み、伝送距離のオプションとして10mと30mを選択できるようにする考えだ。それにより、ベンダーが低コストの製品を実現したい場合には、100mをサポートしないという選択も可能になる。

 このような提案に対しては、ケーブルメーカーやパッチパネルメーカーなどから強い反発の声が上がった。しかしDove氏は、「そうした意見に対し、賛否を問うことはない。状況によっては市場での競争にゆだねることになるだろう」と述べている。

 ベンダー各社は、既にMSA(Multi Source Agreement)に基づくアプローチで取り組みを行っている。また、それを推進するためのマーケティングアライアンスを結成する可能性もあるという。

 10GBASE-T製品の開発を手掛ける新興企業のAquantiaでセールス/マーケティング担当バイスプレジデントを務めるKamal Dalmia氏は、Linley Tech Data Center Conference 2013でパネリストとして登壇し、「今後こうした取り組みが進んでいけば、PHYチップのベンダーはその流れに乗って新しいデバイスを手掛けるようになるだろう」と述べている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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