NOR型フラッシュの市場、2014年以降は回復へ:ビジネスニュース 業界動向
IHS iSuppliは、「NOR型フラッシュメモリの市場は、2012年に20%縮小したが、2013年と2014年にも縮小が続く」との予測を発表した。ただし、車載システムやホームオートメーションといった分野での需要が増加することで、2015年〜2016年には回復に向かうという。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppli(以下、iSuppli)は、「NOR型フラッシュメモリの市場は、2012年に20%縮小した。2013年、2014年も縮小は続く」との予測を発表した。その背景には、NOR型に代わってNAND型のフラッシュメモリを搭載する携帯型機器が増加していることがあるという。
iSuppliは、フラッシュメモリの市場動向に関する最新リポートの中で、「2013年のNOR型フラッシュメモリの売上高は、前年比2%減となる34億米ドルまで下落する見込みだ。2014年もさらに5%減少すると予想される。ただし、2015年〜2016年には売上高の回復が見込まれる」と述べている。また、「NOR型フラッシュメモリの売上高が低迷している主な要因は、高価格なNOR型パラレルフラッシュメモリが市場でシェアを失っていることにある」と指摘した。NOR型パラレルフラッシュメモリに代わって、SPI(Serial Peripheral Interface)を採用した低消費電力/低価格のNOR型シリアルフラッシュが売上高を伸ばしているという。
Micron Technologyは2012年9月〜11月期の決算報告で、NOR型フラッシュメモリの売上高が6%低下したと報告している。NOR型フラッシュメモリの需要は低迷が続いており、NAND型フラッシュメモリへの移行が進んでいるという。
iSuppliは「MicronのNOR型フラッシュメモリは不調だが、明るい兆しもある」と述べる。
iSuppliでメモリ/ストレージ部門担当アナリストを務めるRyan Chien氏によれば、「新たな応用分野によって、NOR型フラッシュメモリの市場の低迷は抑えられる」という。MicronやSpansionなどのNOR型フラッシュメモリの主要メーカーは、ホームオートメーションや車載インフォテインメントといった新分野にもNOR型フラッシュの採用を広げようとしている。
携帯電話機やPCの市場では、NOR型フラッシュメモリに対する需要が確実に減少している。また、車載システムやホームオートメーションといった分野は携帯電話機の市場に比べると規模がはるかに小さく、安定した成長を期待するのは難しい。そうした中でも、車載エンジン制御や温度センサー、スマートメーター、ホームセキュリティシステムなどは主要な成長分野となっている。iSuppliは、「NOR型フラッシュメモリの業界は、価格の低下や市場の縮小といった苦境にありながらも、より効率的で効果の見えやすい経営モデルを生み出しつつある」と報告している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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