ケイデンスがテンシリカを約366億円で買収、ARMとの連携を拡大へ:ビジネスニュース 事業買収
Cadence Design Systems(ケイデンス)は、IP(Intellectual Property)ベンダーのTensilica(テンシリカ)を約3億8000万米ドル(約366億円)で買収する。
Cadence Design Systems(ケイデンス)は2013年3月11日(米国時間)、IP(Intellectual Property)ベンダーのTensilica(テンシリカ)を約3億8000万米ドル(約366億円)で買収すると発表した。
今回の買収は、現金取引で行われる。規制当局からの承認を含む通常の認可プロセスを経て、2013年4〜6月期に完了する予定。ケイデンスは、手持ちの現金と銀行融資枠を使って、買収資金を調達する。テンシリカの買収によって、ケイデンスの1株当たりの利益は2013年にわずかに希薄化するものの、2014年には増大するという。なお、テンシリカは2012年末時点で約3000万米ドルの現金を保有していた。
テンシリカは、モバイル機器や通信機器、車載情報機器などを対象に、組み込みソフトウェアのデータ処理や信号処理に用いるDPU(Dataplane Processing Unit)のIPが主力製品である。スマートフォンやタブレット端末で広く利用されている、ARMのアプリケーションプロセッサ「Cortex-Aシリーズ」のサブシステムとして利用されることが多い。
今回の買収の発表文では、ケイデンス社長兼CEOのLip-Bu Tan氏とテンシリカ社長兼CEOのJack Guedj氏の他に、ARM社長のSimon Segars氏がコメントを寄せている。「ケイデンスによるテンシリカの買収は業界にとって有益だ。われわれとケイデンスの協業が拡大することにより、顧客が優れた製品を市場に提供できるようになることを期待する」(Segars氏)。
ケイデンスは、EDAツールを主力とする一方で、保有するIPの拡充にも力を入れている。2010年7月には、メモリや各種インフェースの設計/検証用IPを展開するDenali Softwareを買収。2013年2月にも、アナログIPコアを展開するCosmic Circuitsを買収する方針を発表している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「半導体微細化、技術的には7nmも可能」、TSMCの開発責任者がARMイベントで言及
半導体製造プロセスの微細化は、3次元構造を利用すれば7nmノードも不可能ではないという。だが、問題は技術ではなくコストにある。 - 大規模半導体設計の最新状況を探る ―― CDNLive! Japan 2011リポート
EADツール大手ベンダーの日本ケイデンス・デザイン・システムズ社が10月13日に横浜で開催した顧客向け技術講演会から、米国本社の幹部による基調講演の模様をリポートする。また、併設の展示会で目を引いた、パートナー企業のシリコンファウンドリ事業の展示を紹介する。 - ドコモの4方式対応ベースバンドチップ、テンシリカのIPコアを採用
NTTドコモなど4社が発表した4種類の携帯電話通信方式に対応するベースバンドチップ。ベースバンド処理回路にはテンシリカのIPコアを採用している。