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触感を2台の端末で“共有”、モバイルの差異化を図るタッチパネル向け技術ディスプレイ技術 触覚フィードバック

今やさまざまなメーカーの機種があるスマートフォンやタブレット端末は、ハードウェアだけでは差異化が難しくなっている。触覚フィードバック技術を手掛けるImmersionは、視覚と聴覚の他、触覚を加えることで、モバイル端末の差異化が可能になると主張する。さらに、その触覚を“共有”する新しい技術を発表した。

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 「モバイル端末は“プラス触覚”で差をつける」。触覚フィードバック技術を手掛ける米国のImmersionのセールス&マーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるDennis Sheehan氏は、2013年3月14日に東京都内で行われた記者説明会でこのように強調した。

 Sheehan氏は、「現在、スマートフォンやタブレット端末のメーカーにとって一番の課題は、ハードウェアだけでは差異化が図れなくなっていることだ」と語る。そこでImmersionが提案するのが、「ハプティクス」と呼ばれる触覚フィードバック技術をモバイル端末に取り入れ、さらにその触感を2台の端末で“共有”する方法である。

 ハプティクスを使うと、タッチパネル上のキーに触れたときに振動し、まるで本当にボタンを押しているかのような感覚などを得られる。ハプティクス自体は目新しい技術ではなく、ゲーム機のコントローラや携帯電話機に既に取り入れられている。

ネコの絵文字を送ると……

 今回、Immersionは、上述したような「ボタンを押したときに触感を伝える」といったシンプルな技術をさらに一歩進め、触感を2台の端末で“共有”できる技術を発表した。同社はこれを「触感プレゼンスソリューション」と呼ぶ。

 例えば、ショートメールやメールアプリでハートの絵文字を送ると、受信した側は「トクン、トクン」という鼓動のような触覚を感じたり、ネコの絵文字を送ると「ニャー」という鳴き声とともに端末が振動したりする。また、自分の端末の画面に「1」と書くと、相手の端末の画面にもリアルタイムで「1」と表示されるだけでなく、書いている間は相手の端末が振動する。つまり、書いたものだけでなく、書いたときの振動までもが相手に伝わることになる。これによって、「相手の存在を、より強く感じることができる」(Immersion)という。触感に関する情報は、3GネットワークやWi-Fiを経由して伝達される。


ビデオチャットをしながら、画面下部に文字を書くというデモ。自分の端末の画面に描いたものを、相手の端末の画面で共有できる。記者が実際に試したところ、自分が描いたマークや絵、文字は、ほぼリアルタイムで相手の端末にも表示された。遅延はほとんど感じなかった。(クリックで拡大)

 なお、書いたものを相手の端末にもリアルタイムで表示する、という技術自体は、スマートフォン/タブレット端末用のアプリ(アプリケーション)として、サードパーティが開発したものである。「このアプリにImmersionのハプティクス技術が加わったことで、人と人とのつながりをより強く感じられるようなコミュニケーションを実現できた」(Immersion)。


Immersionのセールス&マーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるDennis Sheehan氏

 Immersionは、触感プレゼンスソリューションをAPI(Application Programming Interface)として提供する。このAPIは、Immersionのアクチュエータ(振動源)制御用組み込みソフトウェア「TouchSense 5000」に対応しており、2013年後半にモバイル端末メーカーなど向けに発売する予定だ。

 Sheehan氏は、「モバイル端末の画面上での表現は、視覚と聴覚に触覚を加えることで、よりリアリズムを追求できる。リアリズムは、ハプティクスが本当に価値を生み出すことができるエリアである」と語った。

 Immesionは2011年に、高忠実度のハプティクス(HDハプティクス)技術を発表している。これによって、タブレット端末のギターアプリケーションにおいて画面上の弦をいくつかはじいたときに、「本当にはじいているような触覚」だけでなく、「弦ごとのわずかな触覚の差」まで再現できるようになった(関連記事:ギターの弦のわずかな感触をあなたの指に、タッチパネル向け新技術が開発)。

Immersionは複数のデモを披露した。左は、水が入ったカップの画像である。触れると、「ポチャン」という音とともに水が揺れ、端末が振動する。中央は竹林の画像。指で葉を左右に動かすと、それに合わせて葉が揺れ動き、端末が振動して「サワサワ」という音も聞くことができる。(クリックで拡大)

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