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ソニーは再び輝けるか、復活支える名機と一流技術(後編)フォトギャラリー(4/5 ページ)

リチウムイオン電池に近距離無線通信技術――。オーディオや映像以外でも、ソニーが先駆者となって切り開いてきた分野は多い。同社が持つ確かな基礎技術と、市場を生み出し、けん引してきたという実績は、ソニー復活の原動力となるのではないだろうか。

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 近接無線通信技術「TransferJet」の開発と、それを採用した製品においても、ソニーは先駆者である。同社は、TransferJetに対応した製品を、2008年のInternational CESで披露した(関連記事:タッチするだけで高速データ転送――TransferJetとは)。

 同じ近距離無線通信技術であるNFC(Near Field Communication*1))に比べると、TransferJetは大容量のデータを素早く転送できることが利点だ。HD(高品位)映像も、TransferJetを使えば一瞬で転送できる。

*1)ソニーは2004年に、Nokia、Philipsとともに、NFCの普及促進を目指すNFCフォーラムを設立した。

 残念ながら、エレクトロニクス業界では、TransferJetの受け入れが遅れている。そのため、TrasferJetを採用した商品は、ソニーと東芝のノートPC、エプソンのプリンタ、その他の日本メーカーによる数種類の製品など、少数にとどまる。

 それが実際のところだ。だが、待ってほしい。TransferJetには、直感的に引かれる何かがある。

 ソニーは、無線の伝送距離をあえて数cmにすることで、使いやすいインタフェースを開発した。TransferJetは、通信するのに2つの端末(機器)のみを必要とし、それ以外の機器における複雑な初期設定やコンフィギュレーションは不要だ。

 TransferJetは、Samsungが2012年にスマートフォン「GALAXY S III」のテレビコマーシャルで用いた技術と同じもののように見えるかもしれない。だが、Samsungのデータ転送は、2つの技術を組み合わせて行っている。まず、通信したい機器同士をNFCでペアリングし、その後、「Wi-Fi Direct」を使って画像ファイルなどを転送しているのだ。Wi-Fi Directは、アクセスポイントがなくても、テレビやモバイル機器などの機器間を、Wi-Fi通信で直接接続できる規格である(関連記事:モノのインターネットに備える、Wi-Fiの簡単組み込み技術をBroadcomが提案)。

 一方、TransferJetはデータ転送時の待ち時間がほとんどない。実効スループットが375Mビット/秒という、より速い転送速度を実現しており、他の無線技術からの干渉によって伝送速度が低下することもない。送信電力は−70dBm/MHz以下と極めて低く、エラーの検出/訂正や、パケットの認識/再送といった機能も備える。中心周波数は4.48GHz帯で、560MHzの帯域幅を占有する。TransferJetは、誘導電界を利用した通信技術である。ソニーは、放射電磁界を用いた従来の無線アンテナではなく、誘導電界を用いたアンテナ「TransferJet Coupler」を開発した。

 今後、TransferJetが、“ソニーの独自技術”のままで終わるのか、それとも無線通信の標準規格として業界に受け入れられるのか、それは分からない。


112Mバイトのファイルを転送したときの、TransferJetとWi-Fiの転送時間
TransferJetは、複数台を同時に接続しても転送速度は変わらない。一方、Wi-Fiでは、6台を同時に接続すると転送速度が遅くなる。(クリックで拡大) 出典:ソニー

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