「医療」の進化はエレクトロニクスが引っ張る! MEMSセンサー/USB 3.0などを提案:MEDTEC Japan 2013 リポート(2/2 ページ)
「MEDTEC Japan 2013」では、医療を進化させる多様なエレクトロニクス技術の提案が行われた。特にセンシング技術や画像処理関連技術などに注目が集まった。
医療現場での画像アプリケーションへの提案
医療現場では、レントゲンなどに代表される動画像データの応用が広がっている。そして、民生機器などの分野と同じく高精細化が進んでいて、高速なインタフェース技術や画像処理技術が必要になっている。
NECエンジニアリングは、このほど発売したUSB3.0開発キット/IPコアを、医療画像データ転送用途へも提案している。同開発キットは、同社第2世代目となるUSB 3.0開発キットであり、FPGAベースでUSB 3.0対応機器を開発する技術者向けの製品となっている。
新製品は、前世代品に比べ、大幅に価格を抑えた点が特徴。前世代品の価格、約80万円に対し、新製品は19万9000円と約4分の1になった。価格低減の最大の理由は、USB 3.0制御IPコアの設計を全面的に見直し、性能を向上させながら回路規模を従来比2分の1程度に縮小。これにより、USB 3.0制御IPコアを搭載するFPGAをより小さなゲート規模で低価格なものに置き換え可能になり、価格低減が実現できたという。新製品はAltera製FPGA「Cyclone IV」ベースとなっているが、「現在、Xilinx製FPGAにも搭載できるよう開発を進めている」(同社)としている。「USBは、広く使われるインタフェース技術であり、低コストという利点もあって、医療分野でも標準的なインタフェースになりつつあり、医療分野でも今後USB 3.0が普及するだろう」(同社)とする。
Alteraブースでは、FPGAを使った高速画像処理技術が紹介された。その1つがAlteraの最新FPGA「Statix V」を搭載したNallatech製アクセラレータボード「PCIe-385N」だ。Statix Vは、並列コンピューティング向けソフトウェアプログラミングのフレームワークである「OpenCL(Open Computing Language)」に対応するFPGAであり、同アクセラレータボードでも、Open CLを使った開発が行える。Open CLを利用すれば、C言語を扱うソフトエンジニアも容易にFPGA開発が行えるとし「ソフト開発と同じように、低消費電力で、高速なハードウエアアクセラレータが構築できる」(PCIe-385Nを国内で販売するフィックスターズの担当者)という。
ブースでは、医療画像のフィルタリング処理に掛かる時間を、CPUで行った場合と、アクセラレータで行った場合を比較。「最大で約32倍に高速処理できる」(同担当者)という。
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