Appleの成長は鈍化か、スマホメーカー各社の台頭で:ビジネスニュース 業界動向
少し前まではApple(アップル)とSamsung Electronics(サムスン電子)が圧倒的に強かったスマートフォン市場。だが、低価格のローエンドスマートフォンを製造するメーカーが次々に登場し、同市場の勢力図は変わりつつある。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、スマートフォンの世界出荷台数は、2012年には7億1200万台だったが、2013年には約8億9700万台に増加する見込みだという。さらに2017年には、2012年の2倍に相当する約15億台に達し、年平均成長率15.8%で拡大するとみられている。
スマートフォンの世界出荷台数は、下表のように予測されている。2014年は11億台、2015年は12億台、2016年は14億台に達する見込みだ。拡大し続けるスマートフォン市場において、大手スマートフォンメーカーや新興メーカーなど多くの企業が利益を獲得するとみられている。ところが、スマートフォン市場の“生みの親”とも言えるAppleは、そのチャンスを逃す可能性がある。
IHS iSuppliはプレスリリースの中で、「2013年第1四半期における『iPhone』の出荷数量は3740万台で、以前の予想を下回っており、伸び悩んでいる」と述べている。
iPhoneの出荷台数は、2012年の1億3400万台から、2013年は1億5000万台に達する見込みだという。2013年の成長率は前年比で約12%増となるが、IHS iSuppliはスマートフォン市場全体の成長率予測を26%としていることから、それに比べるとAppleの成長は大きく後れを取る見込みだ。競合メーカー各社はスマートフォンを投入するペースを加速させていることもあり、Appleは今後、シェアを失っていく可能性があるといえる。
2013年に好調な成長が期待されるスマートフォンメーカーとしては、最近フラッグシップモデルを発表したばかりのBlackBerryやHTC、Samsung Electronicsなどが挙げられる。また、中国メーカーであるCoolpadとGioneeの2013年第1四半期におけるスマートフォン出荷台数は、HTCとMotorolaを上回ったという。Appleが次世代iPhoneを投入するのは2013年後半になる見込みであることから、この次世代iPhoneによって同社の2013年通年の売上高が爆発的に伸びるということはなさそうだ。
IHS iSuppliでシニアアナリストを務めるWayne Lam氏は、「競争圧力によって、オーディオやディスプレイなどの分野にさまざまなイノベーションがもたらされる。これによってユーザーエクスペリエンスは向上し、スマートフォンのデザインも多様化が進むだろう」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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