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バランスが既存LANで超高精度時間同期を実現するソフトを公開インターポーザボード「SE SP-01」で簡単デモ製作

組み込みソフトベンダーのバランスは2013年11月に開催された日本ナショナルインスツルメンツ(NI)のユーザーイベント「NIDays 2013」で、一般的なLANで接続された組み込み機器同士を誤差1μs以下の高精度で時間同期するミドルウェア製品「Synthia-PTP」のデモを公開した。

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 組み込みソフトベンダーのバランスは2013年11月に開催された日本ナショナルインスツルメンツ(NI)のユーザーイベント「NIDays 2013」で、一般的なLANで接続された組み込み機器同士を誤差1μs以下の高精度で時間同期するミドルウェア製品「Synthia-PTP」のデモを公開した。公開したデモは、NI製グラフィカル開発ツール「NI LabVIEW」やルネサス エレクトロニクスとアナログ・デバイセズ(以下、ADI)が共同で運営するエンジニアの支援サイト「Solution-Edge」製インターポーザボード「SE SP-01」を使用。複数のパートナーと連携しながら提供する総合的な組み込みシステム開発力もアピールした。

 バランスは、組み込みソフトウェア開発・技術支援事業の1つとして、国際標準の高精度時間同期プロトコル「IEEE1588-2008」をベースにしたリアルタイム通信ミドルウェアSynthia-PTPを展開している。ミドルウェアとしての提供とともに、Synthia-PTPの開発評価環境として、ルネサス製のIEEE1588物理層(PHY)LSI「µPD60611」やSH-2Aマイコンをベースにした「Synthia-PTP評価キット」も製品化している。


デモを行ったリアルタイム通信ミドルウェア「Synthia-PTP」と国際規格「LXI」ベースのミドルウェア製品「Synthia-LXI」の概要 (クリックで拡大)

デモのようす。中央の金属の重りを持ち上げて、落とし、右側面と左側面でのわずかな衝撃発生時間のズレを計測した (クリックで拡大)

 今回、NI Days 2013では、NI LabVIEWと計測機器用各種インタフェースに対応するユニバーサルI/Oインタフェースソフト「NI VISA」を搭載したPCと、Synthia-PTP評価ボード2枚をLANで接続してデモを行った。各評価ボードに接続した振動センサーを、3cm角程度の重りの側面(一方のセンサーは左側面、もう一方のセンサーの右側面)に取り付け、重りを落とした際の衝撃データを時刻情報とともに取得し、PC画面上にセンサー波形として表示させた。


LabVIEWと搭載したPCに表示された波形。ナノ秒レベルのズレを表示した (クリックで拡大)

 1つの重りの衝撃を計測したにもかかわらず、PC画面に表示された2本のセンサー波形は、わずかにズレた。このズレは、重りのわずかな傾きで生じた重りの左側面と右側面の衝撃発生時間の違いを検出したもの。デモでは、十数nsという極めて短い時間差を検出し、イーサネットで接続されたセンサー同士でもSynthia-PTPを使用することで超高精度時間同期が図れ、正確な計測が行えることを実証した。

デモは、実質1〜2日間の短い時間で製作

 高精度に時間同期したこの衝撃計測デモシステムについてバランス取締役の小島香織氏は、「実質1〜2日間の極めて短い期間で製作できた点も大きな特長」という。


ハードウェア部分の写真。最も左の基板がSynthia-PTP評価ボードで中央の基板が「SE SP-01」。SE SP-01の上部に「実用回路集CN0303評価ボード」が接続され写真右側の重り部分に振動センサーが取り付けられている (クリックで拡大)

 通常、Synthia-PTP評価ボードに高精度センサーを取り付ける場合、センサー信号を高精度に取り込むA-Dコンバータやアンプといったアナログ信号処理回路を外付けする必要がある。今回、バランスでは、ADIが提供する振動センサー後段の信号処理回路をボード化した「実用回路集CN0303評価ボード」を採用し、アナログ信号処理回路設計時間を短縮したという。さらに、「実用回路集CN0303評価ボード」とSynthia-PTP評価ボードの接続についても、Solution-Edge製インタポーザボードであるSE SP-01を使用し、「ノイズ対策等も必要で手間がかかるジャンパー配線も省略でき、大幅にハードウェア開発時間を短縮できた」(小島氏)とした。

 さらに、ホストPCの接続については、Synthia-PTP評価ボード側マイコンに、計測機器分野で利用されるGPIBバスの通信インタフェースを、TCP/IP通信上で実現する国際規格「LXI」ベースのミドルウェア製品「Synthia-LXI」を実装。イーサネットで、PC側のNI VISAから評価ボード側のデータを容易に取得できたとする。小島氏は、「センサー波形を表示するグラフィカルユーザーインタフェースも、NI LabVIEWで容易に製作可能で、短期間でイベントで公開できるデモを構築できた。標準規格に対応したミドルウェア製品単体では、競合製品との差異化は難しい部分があるが、当社では、パートナーとの連携を深めながら総合的な開発支援が行える点も強みにして、Synthia-PTPなどの拡販を実施していく」としている。

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