簡単設置、高速読み取り――NECエンジニアリングがスキャナ式の新しいマシンビジョンを提案:ET2013
NECエンジニアリングは、「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で「スキャナ方式ラインカメラ」を公開した。カメラ、光学系などが一体となったユニット式で、設置が簡単に行える他、高速な読み取りが行える特長を持つ。
NECエンジニアリングは、「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で2014年4月から出荷予定の「スキャナ式ラインカメラ」を公開した。
ラインカメラは、各種製造ラインで、画像認識による位置決めや品質検査、識別コードの読み取りなどに使用される。一般的なラインカメラは、カメラ部、レンズなどの光学部、光源部という3つの要素で構成され、「それぞれ別個に購入し、ユーザー側で組み立てる場合が多い」という。
NECエンジニアリングが開発したスキャナ式ラインカメラは、事務機器やFAXなどで培ったスキャナ技術を応用し、カメラ、光学系部品、光源を全て一体化したラインカメラシステムとなっている。通常のスキャナは、紙やフィルムなど厚みのないものを読み取り、立体的な被写体を読み取ることは難しい。NECエンジニアリングでは「縮小光学系スキャナ技術」を採用し、被写体と密着していなくてもピントを合わせることを実現し、3〜5cm程度の立体物でも視認可能なスキャナを開発した。
スキャナのため、横方向に広い視野で被写体を読み取ることができる。従来のラインカメラでは、横幅が広いため複数台のカメラでカバーしていたようなケースでも1台のスキャナ式ラインカメラで対応可能。1台で最大53cmまでの横幅をスキャンできる。
「複数台のカメラを連結することで読み取り幅を広げた場合、撮影された画像のつなぎ合わせ処理が必要になった。また、複数の光源使用による明るさのバラつきを避けるため、カメラや各光源の調整に時間を要していた。スキャナ式では、それらの必要がなく、光源、レンズ一体のため、設置も至って簡単に行える」とする。
価格については、「従来のラインカメラシステム一式とほぼ同等になる見込みだ。設置の手間などを考えれば、トータルコストとしてスキャナ式の方が割安になる」とする。
またスキャナ式の利点として「読み取り速度が高速」という点もあるとする。ET2013では、秒速1mの速度で回転するロール状の写真を読み取るデモを実施。肉眼では、どのような写真か判別できない速度で回転する写真を高解像度で読み取っているようすがうかがえた。説明員によると「秒速3.5mで流れる製造ラインにも対応できる高速スキャンが可能。ネジなどが自由落下するようなケースでもスキャンできる」とする。
製品化したスキャナ式ラインカメラは、従来ラインカメラから容易に置き換えできるよう、インタフェースにカメラリンクを採用している。「ただ、高速スキャンを行うための高速インタフェースを搭載を求めるユーザーがあれば、カスタムで他のインタフェースに置き換えることも可能」とする。
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