サムスンは、ノキアと同じ道を歩むのか:オピニオン
サムスン電子の2013年第4四半期業績は、四半期売上高として過去最高をマークする一方で、営業利益は2年ぶりの前四半期比減となった。スマートフォンで絶対的なシェアを誇る中での、営業減益。携帯電話機市場で4割近い世界シェアを誇りながらも経営不振に陥りはじめた2007年のノキアの状況とサムスンの今を比べる。
サムスン電子は2014年1月24日、2013年第4四半期(10〜12月)の決算を発表した。同社の営業利益は、同第3四半期の94億米ドルから18%減となる8兆3100億ウォン(77億米ドル)で、アナリストの当初予測を20%も下回る結果となった。
過去最高売上高も、営業益は2年ぶりの減
同社の四半期決算で営業利益が前四半期比で減少したのは、2年ぶりのことだという。2013年第4四半期の売上高に関しては、549億5000万米ドルと過去最高を記録した。しかし業界では、今後数四半期の間に、サムスンの成長が限界点に達するのではないかとの見方がある。
サムスンは、2014年第1四半期における売上高が伸び悩むとの予測を示した。理由として、IT業界では例年、年初めに、季節的要因によって弱い結果が出やすいからだとした。なお、サムスンは2014年後半には回復できると予測するものの、それまでは朗報を見込めそうにないことを認めている。
そして、今のところ、“サムスンの終えん”の幕開けを予測する声は上がっていない。
しかし、サムスンの現状について、ノキアが業績不振に陥った2007年当時の状況と比較してみるのに良いタイミングかもしれない。ノキアは2007年第3四半期に、過去最高となる39%の市場シェアを獲得していた。そして現在、サムスンが世界スマートフォン市場において35%を超えるシェアを獲得している状態にある――。
ノキアの敗因は何だったのか
ノキアの失墜要因については一般的に、同社が当時、スマートフォンの台頭を予測することができず、長期にわたりフィーチャーフォンに固執したためだと考えられている。ここで過去を振り返ってみると、実に興味深いことが分かる。ノキアは当時、南北アメリカ市場における存在感は薄かったものの、アナリストたちからはそれを指摘する声がほとんど上がらなかった。ノキアのフィーチャーフォンが、南北アメリカ市場以外の地域からの高まる需要を獲得できると考えられていたためだ。
さらにアナリストたちは、ノキアが、中国やインドで廉価版の携帯電話機を製造することによって、利益を上げられると考えていた。2007年当時のニューヨークタイムズ紙には、「ノキアはこうした戦略によって、モトローラやサムスン、ソニーエリクソンなどの競合企業に対するリードをさらに拡大することができる。これらの競合相手の市場シェアを全て合計しても、ノキアのシェアには到底及ばない」と論じる記事が掲載されている。
もちろん、少なくとも2007年の時点で、スマートフォンという大潮流が来ると考えていなかったのはノキアだけではない。アナリストですらそうした展開を予測していなかった。その上、アナリストは中国の機器メーカーやホワイトボックスベンダーの力量を過小評価した。多くの携帯電話機を大幅に低いコストで、しかも(さらに重要なことには)より速く大量生産するそれらメーカーの能力に圧倒され、ノキアはフィーチャーフォンの国際競争で最大の敗者になった。
投資家、アナリスト、記者は誰もが皆、次なる目玉を探ろうとしている。現在のスマートフォンブームの次に何が来るかを知ることは、サムスンの未来を占うのに役立つ。現時点ではモノのインターネット(IoT:Internet of Thing)とウェアラブル機器が話題となっているが、どちらが次なる目玉なのかの判定はまだされていない。
分析のカギとなるのはソフト
現在のサムスンと2007年時点のノキアを比較すると、分析のカギとなるのはソフトウェアだ。もともとハードウェアメーカーとして設立された企業のうち、今日のソフトウェア主導のハードウェアビジネスに適応できるところはあるのだろうか。
ノキアの大失敗の要因は、スマートフォンや中国メーカーの台頭ではない。ハードウェア志向の携帯電話機事業を変革できなかったことと、ソフトウェア集約の未来を真に深く理解できなかったことだ。ノキアがソフトウェアのトレンドを十分に認識していたことを思い出してほしい。ノキアはSymbian、Meego、Navteqなど数多くのソフトウェア関連企業やソフトウェア技術に投資を行った。だが結局は、多くのソフトウェア資産を蓄えれば蓄えるほど、ノキアはソフトウェアに重点を置かなくなっていった。ノキアは2013年、2016年まで行うはずだったSymbianアプリとMeeGoアプリのサポートから撤退することを発表した。
サムスンは現在、ソフトウェア市場の主要プレーヤーになることの重要性に口先だけで賛同している。同社によると、6万5000人の研究開発員のうち3万5000人がソフトウェア関連の取り組みに従事しているという。
では、ここで、皆さんに問題です。
過去5年でサムスンが投資した優れたソフトウェアの名前を1つ挙げてください。もしくは、自社開発のソフトウェアによって性能が大幅に差別化されたサムスン製品の例を1つ挙げてみても構いません。
なお、答えは私に聞かないでください。途方に暮れてしまうので……。
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