サムスンのGALAXYも搭載! 低価格/小型FPGAで再浮上するラティスセミコン:ビジネスニュース 企業動向
ラティスセミコンダクターは、事業戦略説明会を開き、「われわれは、低消費電力、低コスト、小サイズのFPGAに注力する」(同社社長兼CEOを務めるDarin G.Billerbeck氏)との方針を示した。
ラティスセミコンダクター(以下、ラティス)は2014年1月30日、事業戦略に関する説明会を都内で開催した。説明会に出席した同社社長兼CEO(最高経営責任者)のDarin G.Billerbeck氏は、「われわれは、低消費電力、低コスト、小サイズのFPGAに注力する」とし、競合FPGAベンダーと一線を画した独自の事業戦略を貫く方針を示した。
プログラマブルロジックデバイスの代名詞であるFPGA市場は、ザイリンクス、アルテラという二大ベンダーが大きなシェアを占める。ラティスも、かつては大手FPGAベンダーの一角と目されたが、昨今では2大ベンダーに大きく水をあけられている。
ラティスセミコンダクターの四半期売上高の推移。長く低迷が続いたものの、直近2四半期(2013年4〜6月/7〜9月)連続で過去最高を更新するなど復調傾向だ (クリックで拡大) 出典:ラティスセミコンダクター
過去の姿と比べると物足りなさを感じるかもしれないが、現在のラティスは、2四半期連続で過去最高売上高を更新するなど、絶好調の状態にある。
その好調を支えるのは、スマートフォンだ。
FPGAはプログラマブルデバイスという特性上、通信機器や産業機器といったどちらかといえば、少量多品種生産の用途向けを得意とする。逆に、生産数量の多い分野では、価格面でASICやASSPの方が優位性が高い。にもかかわらず、昨今のラティスを引っ張っているのが、最も生産ボリュームの大きいスマートフォン向けであり、その点でも大手FPGAベンダーと目指す方向性の違いが表れている。
ラティスは以前から、大手ベンダーが微細プロセス技術導入による高集積化を激しく競り合うハイエンドFPGA分野を避けて事業を行う「ミッドレンジ戦略」を展開してきた。近年は、この戦略を進化させ、より低価格、低消費電力、小サイズのFPGAへの注力を強めてきた。現在の主力製品の1つである「iCE40」は、「FPGA世界最小」をうたい、パッケージサイズは最小品で1.40×1.48mm。数十mm角サイズになるハイエンドやミッドレンジのFPGAと比べて、極めて小さい。価格も「大量購入時0.50米ドル未満」とし、10米ドルを上回ることがほとんどのFPGAの中で、異質だ。
もちろんラティスの狙う用途は、ハイエンドFPGAと異なる。ターゲットにしているのは、I/Oのブリッジ/拡張用途。CPUやマイコンで足りないI/Oを補ったり、センサーなどのI/Oを、多くのCPU/マイコンで使用されるUARTやI2C、SPIなどのI/Oに変換したりする用途にほぼ特化している。
「機器に搭載されるセンサーの個数が増えるのに従って、扱うI/Oの種類と数も大きく増えている。低価格、低消費電力、低コストで、多くのI/Oを柔軟に扱えるのがラティスのFPGAの価値だ」とBillerbeck氏は語る。
業績を引っ張るスマートフォン向けの採用もセンサーとCPUを接続するセンサーハブ用途であり、低価格、低消費電力、低コストという特長が評価され、GALAXY(サムスン電子)を筆頭に「スマホメーカーの上位10社中、7社がラティスのFPGAを採用している」という。
ハイボリューム向けのiCE40では、スマホ以外にも「日本市場で特に期待している」というデジタルカメラなどモバイル機器全般、AV機器などへの拡販を展開する方針。また今後、1.1mm2と現行品の1/2程度にパッケージの占有面積を縮小した製品の開発を進めていくという。
民生機器分野以外にも、産業機器やマイクロサーバ、小型基地局といった通信装置向けに100を超えるI/Oに対応する集積度を持ちながら、1個のI/O当たりのコストが1セント以下という低価格を実現する「MachX03」や3.2GbpsのSerDes(シリアライザ/デシリアライザ)対応の「ECP3」といった製品群を展開する。
Billerbeck氏は、「小型、低消費電力、低価格が求められるスマートフォン、民生機器でのノウハウは、産業機器、通信機器、さらには、医療/ヘルスケア機器にも生かせる」とし、民生機器向けをベースにしたビジネス成長を狙う姿勢を示した。
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