“未来のデジカメ”を構成するデバイスたち:CP+ 2014(2/2 ページ)
デジカメは日本メーカーの「お家芸」。国内最大級のデジカメ展示会「CP+(シーピープラス)」では、デジカメ技術者に“未来のヒント”を与えるデバイスたちが紹介されていた。
LiveWedgeのデモの隣では、動作時やスタンバイ時の消費電力が少ないDSP「C5000シリーズ」を使った音声認識も紹介していた。通常、音声認識をする場合、音声入力の待機時にプロセッサがずっと動作した状態となり電力を使ってしまうのだが、C5000を介することで低消費電力での音声認識ソリューションが構築できるという。ブースでは、「Hello Blue Genie」という音声を認識した時だけLEDが光る(プロセッサが処理動作を行う)というデモを行っていた。
デモの機材は評価モジュール(EVM)のためサイズが大きいが、実際にはデジカメに十分組み込める小型サイズになる。C5000シリーズを使った音声認識のソリューションは、Android端末で既に導入実績があるという。
10軸センサー搭載デジカメも?――アナログ・デバイセズ
アナログ・デバイセズのブースでは、イメージセンサー後段のA-Dコンバータや電源IC、近接/加速度センサーなどデジカメを構成する各種デバイスをパネルで紹介するとともに、10軸のMEMSセンサー「ADIS16480」を技術展示していた。
高精度のジャイロスコープ/加速度センサー/磁気センサーがそれぞれ3軸と圧力センサーで計10軸となるこのMEMSセンサーは、ロボットなど産業用向けや防衛、航空電子機器アプリケーションにおける超高精度の方位センシングを可能にする。ブースではアームロボットにこの10軸MEMSセンサーを使ったソリューションを展示していた。
「もちろん現在のデジカメに10軸MEMSセンサーはオーバースペック。コストも通常の3軸加速度センサーの数十〜数百倍は違う。だが、高精度な方位をセンシングできることによって新しいデジカメの世界が広がるかもしれない。需要が高まれば、ダウンサイジングや量産によってコストダウンも実現できる。近未来のデジカメは、10軸MEMSセンサーを当たり前に搭載しているかもしれない」(同社)。
μ4/3機がより小さくなるシャッターモジュール――セイコープレシジョン
セイコープレシジョンは、電磁駆動式のフォーカルプレーンシャッターモジュールを展示していた。一眼レフデジカメでは一般的なフォーカルプレーンシャッターだが、最近では小型なミラーレス一眼にも採用されている。同社ではフイルムカメラ時代から機械式のフォーカルプレーンシャッターモジュールを展開してきたが、近年は電磁駆動式の製品にも力を入れている。
既にセンサーサイズ1インチ対応版の電磁駆動式フォーカルプレーンシャッターを量産化している同社だが、今回のCP+ではマイクロフォーサーズ対応版を参考展示していた。
「電磁駆動式はバネによるチャージ機構が不要になるので、シャッターまわりがより小型にできる。またシャッター幕の速度も電気的に制御できるので、カメラメーカー側でシャッターの“味付け”ができるのも特徴」(同社)
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