25米ドルのFirefoxスマホ、新興市場を狙う:MWC 2014(2/2 ページ)
スペイン バルセロナで開催中の「Mobile World Congress(MWC 2014)」(2014年2月24〜27日)で発表された、Firefox OS搭載のスマートフォンは、25米ドルという低価格で一気に注目を集めた。新興市場において、低価格のフィーチャーフォンの置き換えを狙うが、懐疑的な見方もある。
狙いはフィーチャーフォンのユーザー
IHSのLam氏によれば、第1世代のFirefoxスマートフォンの価格は60〜100米ドルで、ローエンドのAndroidスマートフォンとほぼ同価格帯である。一方、SpreadtrumとMozillaが今回投入する25米ドルのFirefoxスマートフォンは、これまでスマートフォンを使ったことがないユーザーをターゲットにしている。機能を最小限に抑えた、従来の低価格携帯電話機市場を狙うことになる。
米国の市場調査会社であるGartnerによると、フィーチャーフォンの市場は縮小傾向にあるものの、2013年に販売された携帯電話機の46.4%を占めているという。つまり、現在も約8億3800万台のフィーチャーフォンが使用されていることになる。Firefox OSベースの超低価格スマートフォンが狙うのは、これらのフィーチャーフォンのユーザーだ。
SpreadtrumのJovin氏は、「MozillaのFirefox OSは、そうした市場セグメントに最適のOSだ」と述べている。「シームレスなWebプラットフォームによって、スマートフォンを初めて使うユーザーでも、ブラウザやアプリなどのあらゆる機能を直感的に操作できるからだ」(同氏)。アプリからWebに“切り替える”という操作は不要だ。さらに、25米ドルのFirefoxスマートフォンは、メモリ容量の少ないFirefox OSで動作するにもかかわらず、Android 4.4(開発コード名:KitKat)レベルのアプリを利用できるという。これは、エントリレベルのAndroidスマートフォンには不可能な事だ。
IHSのLam氏は、「25米ドルのスマートフォンは、従来は超低価格の携帯電話機を扱っていた新興市場にもスマートフォン体験をもたらす。Nokiaが20米ドルで販売する低価格携帯電話機『Nokia 105』の対抗機種になるだろう」と述べている。
半導体企業の中で進むFireboxのサポート
Mozillaをサポートする通信事業者や携帯電話機メーカー、半導体メーカーは少しずつ増えている。
Strategy Analyticsでシニアアナリストを務めるSravan Kundojjala氏によると、「QualcommとSpreadtrumは現在、Firefox OSをサポートしている。また、スペインのスマートフォンメーカーであるGeeksphoneは2014年2月に、Intelの『Atom Z2560』プロセッサを搭載し、デュアルOS(Android/Firefox)対応のスマートフォン『Revolution』を発表した。つまり、現時点で3社のベンダーがFirefox OSをサポートしている」という。
Mozillaは2013年12月、Firefox OSベースのスマートフォンで安定したスマートフォン体験を提供することを目指し、通信事業者や半導体企業と提携して、オープンWebデバイスのエコシステムを推進する非営利組織「Open Web Device Compliance Review Board(CRB)」を発足した。CRBには同社の他、ソニーモバイルコミュニケーションズ、KDDI、Qualcomm、ZTE、Spreadtrum、LG Electronicsなどが名を連ねている。
懐疑的な見方も
もちろん、誰もが、Firefox OSがスマートフォン市場に容易に浸透するとは思っていない。CCS InsightのGeoff Blaber氏は、「Firefox OSは、Androidでは訴求できない低価格で何ができるのか、ということを明確に示さなくてはならない」と説明している。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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