「人・情報・インフラ」の潜在力を引き出し、イノベーションを創出：富士通研究所が開発戦略を公表（2/2 ページ）

富士通研究所は、研究開発戦略説明会を開催した。新事業創出や事業拡大に向けた先行研究では、「ユビキタス」や「ものづくり」など4つの領域で研究開発のロードマップを策定した。同時に2013年度の主な研究成果も公表し、「特定エリアに入ると、その場で人や機器がすぐにつながる基盤技術」などを初めて披露した。

[馬本隆綱，EE Times Japan]

2014年度版の研究開発ロードマップ

　2014年度版の研究開発ロードマップも示した。ヒューマン・エンパワーメント、クリエイティブ・インテリジェンス、コネクテッド・インフラストラクチャおよび共通な基盤の各領域において、向こう10年間に取り組んでいく主な研究テーマを挙げた。

2014年度版の研究開発ロードマップその1（左）とその2 （クリックで拡大） 出典：富士通研究所

　説明会では、2013年度の主な研究成果として16件の技術展示も行った。この中で、「ローカルな場での端末・機器間の情報交換サービスを迅速に構築できる基盤技術」と、「マルウェアによる社内潜伏活動の高速検知技術」は初めて公開された成果である。

　「ローカルな場での端末・機器間の情報交換サービスを迅速に構築できる基盤技術」は、オフィスでの会議や学校でのグループ学習、店舗における情報交換といった応用を視野に入れている。例えば、限られた範囲のWi-Fiサービスエリアに入ってきた複数の人同士が、その場で携帯端末などをつないで画面の共有や協働作業が行える環境を提供する。従来のように事前にメンバー登録やドライバのインストールが不要で、現場でIDやパスワードの入力といったシステムへのログイン作業を行う必要もないという。

　具体的には、Wi-Fiサービスエリア内に設置されたローカルサーバが、エリア内に入ってきた情報端末を、Wi-FiやNFCで認識し接続対象となる情報端末であれば、他の情報端末と連携するためのソフトウェアが、サーバ側から端末に自動で配信される。これによって、現場で特別な操作を行わなくても、端末間で情報交換を行う環境を構築することが可能になるというわけだ。

ローカルな場での端末・機器間の情報交換サービスを迅速に構築できる基盤技術のデモ展示 （クリックで拡大）

　この他、40Gビット/秒パケットをリアルタイムに大量蓄積しオンラインで高速検索する技術、タッチとジェスチャで作業現場を支援するグローブ型ウェアラブルデバイス、などのデモ展示を行った。