Googleのスマホ「Tango」、NASAのロボットとともに宇宙へ飛び立つ:探査活動をサポート(2/2 ページ)
3Dスキャンをリアルタイムで行える、Googleのスマートフォン「Project Tango」。NASAが開発中の球体型ロボット「SPHERES」に取り付けられ、宇宙へ飛び立つ予定だ。高性能な撮影能力や画像処理能力を備えるProject Tangoは、SPHERESの活動を手助けする。
NASAは2014年2月20日にSPHERESのアップグレードを発表。Nexus Sの代わりにProject Tangoが搭載されることが明らかになった。NASAのAmes Intelligent Robotics Groupでディレクタを務めるTerry Fong氏は、「宇宙ステーションの周囲に衛星を飛行させて、その正確な位置情報を得られるようになる」と述べている。
GoogleはYouTubeで動画を公開し、Project Tangoとその3Dセンシング技術について説明している。NASAが行ったSPHERESのデモの様子や、Project Tangoに関する説明などについては、下の動画で見ることができる。
電子機器の修理マニュアルなどを公開しているiFixitは、既にProject Tangoの分解を行っている。その結果報告によると、驚いたことに、Appleが2013年11月に買収したイスラエルのPrimeSenseの3Dセンサー「Capri PS1200 SoC」が搭載されていることが明らかになった。Appleですら、このCapri PS1200 SoCを自社製品で使ったことがないのに、である。
Project Tangoはこの他にも、Qualcommの携帯電話向けプロセッサ「Snapdragon 800」シリーズの最上位機種「MSM8974」、エルピーダメモリ(現マイクロンメモリ ジャパン)の2GB LPDDR3 RAM、InvenSenseの9軸(3軸ジャイロ+3軸加速度+3軸コンパス)MEMSモーショントラッキングモジュール「MPU-9150」などを採用している。また、OmniVisionのイメージセンサー「CameraChip」は、魚眼レンズを備えるため、これによって180度の視野を確保している。もう1つOmniVisionのセンサーを搭載することにより、可視スペクトルおよび赤外線スペクトルのいずれにも対応でき、奥行きを測定することが可能だ。フロントカメラでも120度の視野を確保している。
iFixitの分解担当グループは、Project Tangoを非常に高く評価しており、分解のしやすさについては10点中9点を付けている。
Fong氏は、2014年2月に行った発表の中で、「今回のアップグレードは、通常のものとは異なる。われわれはこれまで、最先端の実用技術をカスタマイズすることにより、さまざまな疑問の解決に向けて取り組んできた。例えば、宇宙空間においてロボットはどのように人間の活動をサポートできるかといった課題などが挙げられる。将来的には、これまで宇宙ステーションでのロボット制御に関して培ってきた技術に基づき、人間とロボットが、地球の軌道や月、小惑星、火星など、あらゆる場所において協業できるようになると期待している」と述べている。
NASAによると、Project TangoとSPHERESは、2014年5月から始まる数回の試験飛行を経た後、同年後半にはISSに送り出される予定だという。Fong氏は、「Project Tangoは感度が高く、3次元追跡機能にも優れているため、ロボット本体の自律飛行を実現できる可能性を秘めている。いずれは、ISS内部や地上からコントローラで最小限の命令を送信することにより、ISSの外で点検や修理を実施できるようになるだろう」と述べている。
注目集めるGoogleのガジェット
Googleは、モジュール式スマートフォン「Project Ara」について、初めての開発者会議「Ara's Developers' Conference」(2014年4月15〜16日)を開催したばかり(関連記事:Googleのモジュール式スマホ、「興味深いが欠点も多い」)。Project Araはこれまでの概念をくつがえす新しいタイプのスマートフォンとして関心を集めている。
2014年4月15日には、「Google Glass」を1日限定で一般発売している。さらに、同社が超小型カメラとセンサーを搭載したコンタクトレンズの開発に取り組んでいることも明らかになった。これらの新ガジェットについては、賛否両論が巻き起こっている。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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