ドコモ、5G実験で国内外の通信機器6社と協力:世界的な5Gの実用化検討への貢献目指して
NTTドコモは、国内外の通信機器メーカー6社と第5世代携帯電話通信方式(5G)に関する実験で協力することに合意したと発表した。各社と高周波数帯での広帯域利用に向けた研究を進め「世界的な5Gの実用化検討に貢献していく」(ドコモ)という。
NTTドコモは2014年5月8日、国内外の通信機器メーカー6社と第5世代携帯電話通信方式(5G)に関する実験で協力することに合意したと発表した。協力する6社は、アルカテル・ルーセント、エリクソン、富士通、NEC、ノキア、サムスン電子。ドコモでは、この6社と個別の実験に向けた検討をするとともに、「その他ベンダーとの協力も含めた幅広い検討を進めていく」としている。
5Gは2020年ごろのサービス開始を目指す新たな携帯電話通信方式を指し、通信速度は10Gビット/秒以上、通信容量も第4世代携帯電話通信方式(4G)であるLTEに比べ1000倍程度に大容量化することを目指し現在、技術検討や技術開発が行われている。2013年には、海外で規格策定団体も発足する(関連記事:5G通信規格の策定団体、欧州で発足)など、規格化に向けた動きが活発化しつつある。
ドコモも2010年ごろから5Gに向けた研究開発を実施し、今回、通信機器メーカー6社などと実験を行うことで、「5Gの研究をさらに進め、世界的な5Gの実用化検討に貢献していく」との狙いがある。
実施する実験内容は、次の通り。
- 現在利用されている周波数に加え、新たに6GHzを超える高い周波数を活用した広帯域移動通信技術
- 超多素子アンテナを用いた高速大容量伝送技術
- 既に商用開発を進めている高度化C-RANやドコモが提唱し3GPP(移動通信システムの標準化プロジェクト)において現在標準化作業が進められているC/U分離に基づくファントムセルのコンセプトをベースとしたマクロ/スモールセルアーキテクチャ
- 超高密度に配置した光張出しスモールセルによる単位面積当たりの容量の増大化
- ブロードバンド通信やM2M通信に適した新しい信号波形
2014年中にドコモR&Dセンタ(神奈川県横須賀市)などで屋内実験を開始し、2015年以降に屋外実験を開始する予定。「実験の結果は、5G関連の世界の研究団体や国際会議、2016年以降に開始される5Gの標準化活動などで、ドコモが提唱するコンセプトの検証結果などとして活用するとともに、より高度な技術の創出と確立に向けた検討において活用する予定」(ドコモ)としている。
なお、各通信機器メーカーとの実験予定内容は次の通りとしている。
- アルカテル・ルーセント
- 5Gにおけるブロードバンド通信やM2M通信に適した新しい信号波形の候補について実験を行う
- エリクソン
- 高い周波数帯の利用を想定した新無線インタフェースのコンセプトについて実験を行う。周波数帯としては15GHz帯、周波数帯域幅として400MHz程度を想定し、空間多重とビームフォーミングを併用するMassive MIMO技術により、ユーザー当たり5Gビット/秒の伝送速度を目指す
- 富士通
- 5Gにおいて単位面積当たりの容量をさらに増大させるため、超高密度に配置された光張出し基地局において、単一光張出し局からのデータ送信を前提に複数光張出し局間で協調無線リソーススケジューリングする技術について実験を行う
- NEC
- 5Gにおいて単位面積当たりの容量をさらに増大させるため、スモールセル向け超多素子アンテナを使用し、時間領域において指向性を制御するビームフォーミング技術について実験を行う。周波数帯として5GHz帯、周波数帯域幅として100MHz程度を想定
- ノキア
- 5Gにおけるミリ波の有効利用を想定した超広帯域無線伝送の実験を行う。周波数帯としては70GHz帯(ミリ波)、周波数帯域幅として1GHz程度以上を想定している。ミリ波のカバレッジを可能な限り拡張するため、シングルキャリアの信号波形(Null Cyclic Prefix Single Carrier)、およびMassive MIMO技術を活用する
- サムスン電子
- 5Gにおける高い周波数帯における安定した超広帯域伝送を実現するため、デジタルとアナログを組み合わせたハイブリッドビームフォーミングを基地局と移動局に適用し、移動局に搭載する多素子アンテナは実端末を考慮したサイズとして、移動局を追従するビーム制御技術の実験を行う。周波数帯として28GHz帯、周波数帯域幅として500MHz〜1GHzを想定
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