8K対応H.265ソフトデコーダのデモを公開――テクノマセマティカル:ESEC2014 速報
テクノマセマティカルは、「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC2014)」(会期:2014年5月14〜16日)で、最新ビデオコーデック規格「H.265/HEVC」で圧縮された8K(7680×4320画素)ビデオのソフトウェアデコードのデモを行った。
テクノマセマティカルは、「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC2014)」(会期:2014年5月14〜16日)で、最新ビデオコーデック規格「H.265/HEVC」で圧縮された8K(7680×4320画素)ビデオのソフトウェアデコードのデモを披露した。
H.265は、フルHDビデオよりも4倍の画素数を持つ4K(4090×2160画素)や8Kビデオに向けた高圧縮率のビデオコーデックとして開発され、フルHDビデオに用いられるコーデック「H.264/MPEG-4 AVC」よりも2倍の圧縮性能を持つ。しかし、高い圧縮率のためにエンコード/デコード処理はH.264よりも重くなる。
CPUコア12個で動作
テクノマセマティカルは、H.264などで既に実績のある各種ビデオコーデックの演算処理負荷を削減する独自アルゴリズム「DMNA」(Digital Media New Algorithm)を用いて、H.265のエンコーダ/デコーダを開発しており、このほど4K対応デコーダに続いて、8K対応H.265ソフトウェアデコーダを開発した。
ESEC2014で動作デモは、インテル製プロセッサ「Core i7」2個(CPUコア数は計12個)を搭載したPCで、開発した8K対応H.265ソフトウェアデコーダを動作させ、8K対応ディスプレイに8Kビデオを映し出した。デモは、「ビデオカードの都合」(説明員)で、30フレーム/秒での表示だったが、開発したデコーダ自体は60フレーム/秒に対応し、Main/Main10プロファイルにも準拠しているという。「8KビデオのH.265デコードを12コアのプロセッサで計算資源で実現できるデコーダは他にないだろう」(説明員)とした。
同社では、開発した8K対応H.265デコーダをハードウェアIP化したものを2014年内にも開発する方針。「(2020年予定の)東京五輪開催に合わせて、8K対応のレコーダー/プレーヤー、カムコーダーといった機器が開発される見込みであり、そうした製品への搭載を目指していく」(説明員)。
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