80GHz帯対応の無線伝送装置、山間部でもつながりやすく:WTP2014 / ワイヤレスジャパン2014
NECは「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2014」(WTP2014)で、80GHz帯の狭帯域に対応した高速無線伝送装置を展示した。河川の近くや山間部など、光ケーブルの敷設が難しい場所での中継伝送に向く。500MHz帯域幅で最大3.2Gビット/秒の伝送が可能になるという。
NECは「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2014」(WTP2014、2014年5月28〜30日)で、80GHz帯の狭帯域(チャンネル幅250MHz)に対応した無線伝送装置「iPASOLINK(アイパソリンク) EX」を展示した。iPASOLINK EXは、電波の送受信部と変復調部を一体型にした屋外設置用の「iPASOLINK AOR(All Outdoor Radio)」シリーズのラインアップの1つ。海外では既に販売されているもので、国内では2014年5月29日に開始したばかりである。
80GHz帯は電波の直進性が強く、大気の影響による減衰が少ない、大容量通信に適した周波数帯である。河川付近や山間部など、光ケーブルを敷設しにくい場所での中継伝送に向いている他、高精細/大容量の映像を非圧縮、低遅延で伝送できる。
80GHz帯狭帯域の使用については、総務省が電波法の改正を進めているさなかで、2014年夏にも制度化が整う見込みだ。連続する250MHz帯域幅のチャンネルを束ねて、500MHz帯域幅として使用することも制度化される予定となっている。iPASOLINK EXは、変調方式に256QAMを採用することで、500MHz帯域幅では最大3.2Gビット/秒の通信が可能になるという。
なお、iPASOLINK EXの出荷は、電波法の改正後になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ミリ波のすそ野が広がる、市場をけん引する3つの要因
「周波数のひっ迫」や「発展途上国のインターネット人口の拡大」、「防衛・宇宙分野の堅調な伸び」といった市場背景が、ミリ波の無線通信市場をけん引している。 - 60GHz帯通信の勢力図、Wi-Fi AllianceとWiGigの合併でどう変わる?
Wireless Gigabit Alliance(WiGig)は、60GHz帯を利用する無線通信の規格策定に取り組んできた。Silicon Imageも、60GHz帯の無線通信で独自の規格を手掛けている。Wi-Fi AllianceとWiGigは2013年1月に、合併することを発表したが、これによって60GHz帯の無線通信規格の“勢力図”に変化はあるのだろうか。 - 東工大の60GHz帯向けRF回路、ダイレクトコンバージョン方式で16QAMを実現
東京工業大学の研究グループは、60GHz帯のミリ波通信に向けたRFトランシーバ回路を開発した。「16QAMの変復調が可能な、ダイレクトコンバージョン型のRFトランシーバ回路は世界初」(東京工業大学)という。