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64ビット化を加速、クアルコムが「Snapdragon」の最新動向を発表COMPUTEX TAIPEI 2014(1/2 ページ)

クアルコム(Qualcomm)は「COMPUTEX TAIPEI 2014」で、SoC「Snapdragon」シリーズなどの最新動向を説明した。同社の注力ポイントの1つが64ビット対応だ。Appleが64ビットCPUを搭載した「iPhone 5s」を発売して以来、64ビット化の流れが予想以上に加速しているからだという。

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 Qualcommは、6月3日〜7日の5日間、台湾・台北市で開催されたIT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2014」において、会場近くに顧客・報道関係者向け展示エリアを設けるとともに、同社のSoC戦略などについてもアップデートを行った。

 同社のSoCは、日本市場向けのスマートフォンやタブレット製品にも広く採用されていて、2014年1月の「2014 International CES」(米国ラスベガス)では、4K(4096×2160ピクセル)ディスプレイにも対応した「Snapdragon 805」を発表、4Kビデオコンテンツ時代のビデオ圧縮技術とされるHEVC(H.265)デコードにもいち早く対応するなど、より高性能なモバイル端末を実現可能なSoCとして期待されている。

64ビット化の流れは、予想以上に進んでいる


QualcommのMark Shedd氏

 その同社が、最新のロードマップで注力するのが64ビット対応だ。同社でマーケティングを担当するMark Shedd氏は「Appleが『iPhone 5s』を発表して以来、われわれの予測を上回るペースで、CPUの64ビット化の流れが進んでいる」として、同社としてはミッドレンジ製品となる「Snapdragon 610」「Snapdragon 615」から64ビット化を進め、次期フラグシップモデルの「Snapdragon 810」「Snapdragon 805」へと64ビットSoCを拡充していく戦略を明らかにした。

 スペイン バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2014」(2014年2月24〜27日)で発表したSnapdragon 610と同615は、CPUコアにARMのCortex-A53を採用し、Snapdragon 610がクアッドコア、同615がオクタコア(8コア)構成を採る。ただし、Shedd氏は「8コアにしても、あまりパフォーマンスは向上しない」と述べ、ホモジニアス構成の8コアでは、熱設計的にどうしても動作クロックを下げざるを得ない影響も出ていることを示唆している。

左は「Snapdragon」のロードマップ。右は、「Snapdragon 810」および「Snapdragon 808」の特長である(クリックで拡大)

「big.LITTLE」処理の採用

 このため、次期フラグシップモデルとなるSnapdragon 810/805では、高性能コアと省電力コアの2種類のCPUコアを組み合わせる。ARMが「big.LITTLE」と呼ぶ処理構成だ(関連記事:「処理に応じた“適材適所のコア”を提供」――ARMがbig.LITTLE処理とMaliに注力する理由)。具体的には、Snapdragon 810では、20nmプロセスでARM Cortex-A57とCortex-A53を4基ずつ搭載するオクタコア構成を採るとともに、メモリインタフェースにDDR4Lを採用することで高性能化と省電力化を両立。さらに、映像処理のためのISP(Image Siginal Processor)を2基搭載することで、CPUやグラフィックスコアの負荷を最小限に、HDR(High Dynamic Range:ハイ・ダイナミック・レンジ)や、ピント位置調整などのコンピュテーショナルフォトへの対応も容易になるとアピールする。

 同社製品の内覧スペースでは、コンピュテーショナルフォトの一例として、1枚の写真を、レンズからの距離でいくつかのレイヤーに分解し、演算処理でピントが合う位置を調整するデモや、人物の背景や服の色を変えるデモなど、最新のSoCの映像処理性能をアピールするデモが披露された。

左は全体にピントがあったオリジナルの画像。写真をレンズからの距離でレイヤーに分解。この情報をもとにピントやボケの演算を行なう(中央)。右の画像では、右側の貝にピントをあわせ、その前後のレイヤーにぼかし効果を適用することで違った雰囲気の写真になる(クリックで拡大)

 さらに、同会場にはSnapdragon 805を搭載した4Kタブレット端末の試作機も展示されていた。ジャパンディスプレイの4Kパネルを搭載している。

左は「Snapdragon 805」の仕様。右は、Snapdragon 805を搭載した4Kタブレット(クリックで拡大)

各国の認証もワンタッチで適用、新興国向けのリファレンスモデル


QualcommのDavid Tokunaga氏

 また、Qualcommは、同社のミッドレンジ以下のSoCを使ったスマートフォンやタブレットの開発を容易にすべく、顧客向けに「QRD(Qualcomm Reference Design)」と呼ぶ、リファレンスモデルを提供している。

 同プログラムを担当するDavid Tokunaga氏は、このQRDに関するアップデートを行った。主に中国や東南アジアなどの新興国において、迅速な製品化をサポートすべく、各キャリアの通信設定や各国の認証をワンタッチで適用することができる機能「Global Pass」や、デュアルSIM、トリプルSIMへの対応、Windows Phoneとの共通プラットフォーム化などを進めていることを明らかにした。Tokunaga氏によれば、「QRDを利用して開発されたデバイスは既に400種以上にのぼり、最短60日で製品化を実現したベンダーもある」とアピール。また、「製品出荷後も、メーカーはGlobal Passで容易にキャリア設定や各国認証の変更ができるようになるため、在庫調整・管理にも活用されている」と説明する。

各国の認証をワンタッチで適用することができる「Global Pass」を提供する(左)他、デュアルSIM/トリプルSIMにも対応する(クリックで拡大)

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