NECの顔認証技術がNISTのベンチマークテストで首位――2014年度中に製品展開へ:センシング技術
NECは同社の顔認証技術が米国国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテスト「Face Recognition Vender Test」で1位を獲得したと発表した。2014年度中に1位を獲得した技術を製品へと応用し、セーフティ事業の展開を加速させていくという。
NECは2014年6月20日、同社の顔認証技術が米国国立標準技術研究所(以下、NIST)のベンチマークテスト「Face Recognition Vender Test」で1位を獲得したと発表した。同社は2009年の初参加以来、3回連続での1位獲得となった。
Face Recognition Vender Testは、100万人規模の顔画像(静止画)データ群から、正しい画像を最上位に検索した割合(1位照合率)と、その検索速度の2項目を評価するもの。NECは、照合率の高さと検索速度の双方で1位の評価を獲得した。今回のテストは、米連邦捜査局(FBI)と米国土安全保障省(DHS)が後援し、世界各国のベンダーや大学など16の組織が参加した。評価作業は2012年8月に始まり、2014年5月に最終報告書が公開された。
NEC 情報・メディアプロセッシング研究所 主席研究員の今岡仁氏によると、「顔認証技術の開発の方向性は、年齢による顔の変化や撮影環境の変化がある中でいかに認証精度を向上させるかに尽きる」という。NECは今回のテストに向け、鼻翼、口端など、人の顔の特徴となる点を検出する多点特徴点検出技術や、そのデータを基に独自のアルゴリズムで個人を識別する多元特徴識別技術を大幅に改良したという。また同氏は、こうした自社技術による「照合精度の高さ」がNECの顔認証技術の強みだとしている。
顔認証技術を武器に事業展開の加速へ
NECは2013年4月に発表した「2015中期経営計画」において、「先進のICT技術を活用した高度な社会インフラを提供する」社会ソリューション事業に注力するとしている。その一環として、顔認証技術などの生体認証やビッグデータなどを用い、国民ID、出入国管理や犯罪対策といった領域に対して同社のソリューションを提供する「セーフティ事業」の世界展開強化を掲げている。現在、NECの顔認証技術は世界20カ国以上において、警察・司法機関・入国管理などからアミューズメント施設まで活用されており、今回発表した技術を用いた製品を2014年度中にリリースすることで、さらに採用数を拡大させる方針だ。
また、出退勤管理や、スマートデバイスでのログオン認証といったエンタープライズ領域や、携帯電話、ロボットなどの組み込みシステム領域などに対しても顔認証技術を応用していきたいとしている
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