モバイル用ベースバンド世界ランキング、クアルコムが首位を維持:インテルはトップ3から脱落
2014年第1四半期の携帯電話機向けベースバンド市場において、Qualcommがトップの座を維持した。2位にMediaTek、3位にSpreadtrum Communicationsが続く。インテルは、過去3年間で初めてトップ3位から脱落した。
米国の市場調査会社であるStrategy Analyticsが発表した最新リポート「Handset Component Technologies」によれば、Qualcommは、2014年第1四半期の携帯電話機向けベースバンド市場において、首位の座を維持した。一方でIntelは、過去3年間で初めて、トップ3から脱落したという。
2014年第1四半期の携帯電話機向けベースバンドプロセッサの世界売上高は47億米ドルで、前年同期比の成長率はわずか2.5%だった。そのうちQualcommは約66%のシェアを獲得している。Qualcommに続き、第2位のMediaTekが15%、第3位のSpreadtrum Communicationsが5%のシェアをそれぞれ獲得している。Intelは、トップ3から脱落し、第5位にランクを落とした。Strategy Analyticsのリポートはその要因について、2014年第1四半期におけるIntelの2G/3G対応ベースバンドチップの出荷数量が大幅に減少したためだと指摘する。
Intelのシェア縮小は一時的
しかしStrategy Analyticsは、Intelのシェアが縮小したのは一時的なものだとみているようだ。Intelは現在、LTEベースバンドチップの売上高を大きく伸ばしていて、LTE-Advanced Category 6に対応したモデム「XMM 7260」も発表していることから、2014年後半には大きなシェアを獲得できる可能性があるという。
Strategy AnalyticsでRF/無線コンポーネントサービス担当ディレクタを務めるChristopher Taylor氏は、プレスリリースの中で、「Qualcommが優勢を維持できたのは、その広範な顧客基盤と、強力なLTE製品ポートフォリオによるところが大きい」と述べている。しかし、同社のLTE関連の売上高シェアは、2013年第1四半期には95%だったが、2014年同四半期には91%に縮小している。これは、特にIntelやMarvell Technology Groupなど、LTEベースバンドチップを手掛ける競合他社からの追い上げが強まっているためだ。Marvellは、今回のランキングで第4位を獲得している。
またTaylor氏は、「2014年第1四半期におけるベースバンドチップの出荷数量全体のうち、LTEベースバンドの出荷数量は50%に満たなかった。このためQualcommは、LTE製品シリーズ関連で多くのチャンスを握っているといえる」と述べている。
Strategy Analyticsで携帯電話機向けコンポーネントテクノロジーサービス担当ディレクタを務め、最新リポートの著者でもあるStuart Robinson氏は、プレスリリースの中で、「MediaTekが今後、ランキング第2位の座を維持していくためには、LTE関連の取り組みを直ちに加速させる必要がある。同社が現在のような成長を達成できたのは、主に2G/3G市場での伸びによるものだからだ」と指摘している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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