電源インフラや自動車関連向けなどに注力、デルタグループの会長らが会見:ビジネスニュース 企業動向
デルタグループの会長を務めるYancey Hai氏や、日本法人の代表取締役を務める柯進興氏らが東京都内で記者会見し、グループとしての戦略や日本における事業展開などについて語った。
デルタ電子は2014年7月22日、来日したデルタグループの会長を務めるYancey Hai氏や、日本法人の代表取締役を務める柯進興氏らが東京都内で記者会見し、グループとしての戦略や日本における事業展開などについて語った。日本市場では、これまでの民生機器やIT機器分野に加えて、通信/ネットワーク機器用電源インフラ、メガソーラー発電、EV充電インフラ、ビルオートメーションシステムといった領域に注力していく考えだ。
デルタグループは、スイッチング電源や冷却ファンで高いシェアを持つ台湾企業で、ネットワーク機器やディスプレイ装置、LED照明なども手掛けている。2013年のグループ売上高は71億米ドルとなった。主たる事業領域は「パワーエレクトロニクス」「エネルギーマネジメント」「スマートグリーンライフ」の3分野である。また、2014年にはリチウムイオン2次電池に関して、製造設備などの事業資産を三菱重工業(MHI)より買収するとともに、MHIとの連携を強化して蓄電システムの開発などに取り組む。
Hai氏は、これまでデルタグループが手掛けてきたいくつかの成功事例も紹介した。亜鉛メッキ製造ラインやビルオートメーション向けの産業自動化システム、ビルのエネルギー管理システム、空港の情報システムや銀行ATM装置などに向けたUPS(無停電電源装置)、太陽光発電システム向けの自動追尾システム、メガソーラーシステム、EV用の急速充電器などを挙げた。
さらにHai氏は、「デルタ製品のパワー効率を高めることによって、2010年から2013年までの間に1190億kWhの電力消費削減に貢献することができた。このことは、CO2に換算すると約6.4Mトンの排出削減に相当する」と話した。
日本とは、M&Aよりも補完関係の構築を
続いて、柯氏が日本市場における事業展開などを紹介した。柯氏は、「2011年の東日本大震災をきっかけに自然エネルギー分野への関心が高まり、EPC(Engineering Procurement Construction)/IPP(Independent Power Producer)事業に進出することを決めた」と語る。その一例として、兵庫県・淡路島で取り組んでいる「メガソーラープロジェクト」や、東北大学キャンパス内で実施されている「DC/ACハイブリッド実証実験」への参加などを紹介した。特に、メガソーラープロジェクトでは、海岸線に面しているため塩害耐性を強めた太陽光モジュールを採用している点を強調した。
日本における注力市場について柯氏は、「これまでの約20年間は、IT機器や民生電子機器向けスイッチング電源や冷却ファンなどに注力してきた。この事業をベースとして、これからは新たな4分野についても事業を拡大していく」と語り、「日本市場でこれから3年間は、年率15%の成長を続けていきたい」との見通しを述べた。
新たに注力する4分野とは、携帯基地局やデータセンター向けの「電源インフラ」、メガソーラー発電所やEPC/IPP事業向けの「再生可能エネルギー」、EV向け急速充電器やコンバータ/モーターなどの「自動車関連」、そして、ファクトリーオートメーションやビルオートメーションを支える「自動化ソリューション」である。
また、デルタグループは企業買収などにも積極的に取り組んでいるが、日本での展開について柯氏は、「M&Aより日本企業とは(互いの強みを)補完できる提携関係を築いていきたい」と語った。なお、デルタ電子の事業戦略や注目製品については、7月23〜25日に東京ビッグサイトで開催されている「TECHNO-FRONTIER 2014」の同社ブースで紹介している。
最後に、ブランドマネジメントオフィスの郭珊珊氏が、デルタグループのCSR活動に触れ、製品のエネルギー効率を改善し続けていくことで、電気エネルギーやCO2排出量の削減に大きく貢献していることなどを強調した。
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