ソニーがCMOSイメージセンサーの生産能力を増強、長崎と熊本に350億円を投資:スマホなどへの供給体制を強化
ソニーは、積層型CMOSイメージセンサーの生産能力を増強すべく、ソニーセミコンダクタ 長崎テクノロジーセンターと熊本テクノロジーセンターの製造設備に約350億円を投資する。イメージセンサーの総生産能力を約7万5000枚/月に増強する中長期的な施策の一環である。
ソニーは2014年7月23日、ソニーセミコンダクタ 長崎テクノロジーセンター(以下、長崎テック)と熊本テクノロジーセンター(以下、熊本テック)において、積層型CMOSイメージセンサー*1)の生産能力を増強すべく、2014年度下期から2015年度上期にかけて設備投資を実施すると発表した。
今回の設備投資は、ソニーのイメージセンサーの総生産能力を約7万5000枚/月に増強する中長期的な施策の一環である。現在は約6万枚/月で、2015年8月には約6万8000枚/月まで増強する予定だ*2)。
*1)裏面照射型CMOSイメージセンサーの支持基板の代わりに信号処理回路が形成された半導体チップを用い、その上に裏面照射型画素が形成された半導体チップを重ね合わせたもの。
*2)総生産能力(300mmウエハー枚数ベース)の算出は、一部の製造工程の他社委託分を含める。
設備投資の総額は約350億円を見込んでいて、その内訳は、2014年度実施予定が約90億円(長崎テック:約30億円、熊本テック:約60億円)、2015年度実施予定が約260億円(長崎テック)。このうち、2014年度の実施予定分(約90億円)は、今期の半導体の設備投資見込額(650億円)に含まれているという。
今回の設備投資は、主に、積層型CMOSイメージセンサーの重ね合わせ工程*3)と、それ以後の工程を長崎テックで行うための製造設備の増強、および、マスター工程を熊本テックで行うための製造設備の増強に充てる。
*3)裏面照射型画素及び信号処理回路のそれぞれが形成された半導体チップを重ね合わせる工程。
ソニーは2014年3月末に、ルネサス エレクトロニクスの山形鶴岡工場を買収。同工場を主に積層型CMOSイメージセンサーのマスター工程を行う山形テクノロジーセンター(以下、山形テック)として、整備している(関連記事:ルネサスの工場再編にメド、鶴岡工場をソニーに売却)。今回の設備投資により、山形テックでマスター工程を行う半導体チップの一部について、それ以後の必要な工程(重ね合わせ工程を含む)を長崎テックで行えるようになり、積層型CMOSイメージセンサーの一貫した生産体制を構築できるとする。
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