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もうからない製品はやめる! ――ルネサス、売上高25%相当の製品を終息へビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2014年8月6日、2014年度(2015年3月期)第1四半期決算説明会を開催し、これまでの構造改革策の進捗(しんちょく)を説明するとともに、今後の利益成長に向けた経営方針説明を行った。その中で、2013年度売上高のうち約25%を占める低採算の非注力領域事業/製品を2018年度頃までに終息させ、2016年度下期に売上総利益率(粗利率)を45%まで高める方針を示した。

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事業の選択と集中を加速

 その中で、今後、粗利率を向上させるために推し進める策が、事業/製品領域の“選択と集中”になる。既にLTEモデム事業の譲渡など非注力領域の事業/製品の整理、縮小を行っているが、さらにこれを加速させる。

 非注力領域の事業/製品について作田氏は、「生産設備が古く生産が継続できない製品」「われわれが弱く、生産量が少ない製品」「顧客の事業や市場自体が縮小している製品」といった条件を挙げた。これら条件に合致する製品は「半導体売上高(2013年度実績7968億円)のうち、1/4に相当する」という。非注力領域の終息時期は「2018年度中ぐらいまでに終えたい」とした。

左=注力事業と非注力事業の売上割合推移 / 右=事業の選択と集中のイメージ (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 なお、この日の説明資料に記載された具体的な非注力領域の事業/製品は、以下の通り。

 シナプティクスへ2014年中に売却することで合意した中小型ディスプレイ表示ドライバ事業については作田氏は、「収益性が高く利益率も良いが、(他の製品事業と共通点の少ない)離れ小島のような事業になっていた。長い目で見た場合に利益率、シェアをキープするのは難しくなるだろうという判断だった」と事業売却の意図を説明した(関連記事:ルネサスが“優等生・中小型液晶ドライバ事業”の「譲渡検討」を表明)。

売り上げより、まず粗利

 こうした不採算事業/製品の終息で、現売上高の2割以上を失うことになるが、「なんとしても粗利益率を改善させる」とする。ただ、「2割以上の売上高を失うのは何もしなかった場合だ。できれば、注力領域で減収分をカバーしたい」と言う。


注力事業での具体的な製品展開イメージ (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 注力領域は、「自動車」「産業機器・家電」「OA・ICT」という3つの用途分野向け事業を挙げる。ただOA・ICT向けについては、「あらゆる半導体製品を手掛けるわけではなく、われわれの競争力が発揮できるかなり限られた部分のみ」と限定的な事業展開となる。さらに、自動車向け、産業機器・家電向けも含め「売上高の2/3、できれば3/4は、シェアナンバー1製品で売り上げたい」とし、あくまで競争力のある製品に集中する。

大型投資も

 注力領域での競争力強化策としては、2013年度下期に売上高比12.2%まで減らした研究開発投資を同15%まで戻す他、産業革新機構などから調達した約1500億円を資金(関連記事:ルネサスの官民支援策、産革機構とトヨタら取引先8社が合計1500億円出資)も事業強化に充てる。約1500億円の資金は、既に一部は研究開発投資に充てているが「通常の研究開発投資とは別に、ワンショット的な使い方をしたい」と、何らかの大型投資を模索している。


研究開発投資の推移 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

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