iPhoneの歴史――12の転機(前編):登場して7年(2/2 ページ)
「iPhone 6」が発表され、お祭り騒ぎが続いている。2007年に初代iPhoneが発売されてから7年。iPhoneはどのような歴史をたどってきたのだろうか。
【1】2007年1月9日:iPhoneの誕生
Steve Jobs氏は2007年1月9日、米カリフォルニア州サンフランシスコで行われた「Macworld Convention」において、革新的な携帯電話機と、ワイドスクリーン搭載「iPod」、画期的なインターネット通信機器の3種類の製品の機能を1つに搭載したデバイスについて語った。Jobs氏が最も輝いていたこの当時の動画は、YouTubeで視聴することができる。ここから、本当のスマートフォン時代が始まった。
【2】2008年10月22日:iPhone対Androidの競争が始まる
初代iPhoneは、2007年6月29日に発売された。大勢の人々がiPhoneを入手しようと何時間も並んだ。その74日後となる2007年9月10日には、iPhoneの販売台数が100万台に達した。そして、iPhoneが市場に登場してから約15カ月後、T-Mobile USAが、業界初となるAndroid端末「T-Mobile G1(HTC Dream)」を発表した。ここから、iPhone対Androidの競争が繰り広げられることになる。
【3】2010年5月27日:iPhone製造工場での労働環境が問われる
Foxconn Technology Groupにおいて中国人労働者の自殺が相次いだことに関する報道を受け、Appleをはじめ、DellやHP、任天堂、Nokiaなど、委託製造業者と契約を結んでいるメーカー各社は、調査を実施することを約束した。米国では突如として、技術分野における労働者問題がメディアで広く取り上げられるようになった。
【4】2010年6月21日:「iOS 4」のリリース(マルチタスクの実現)
2010年夏にリリースした「iOS 4」によって、iOSの課題であったマルチタスクへの対応が実現した。アプリを起動している状態で、バックグラウンドで別のアプリを実行できるようになったのである。これは、iOSにとって重要な進歩であった。Androidに対する強みが増し、バックグラウンドオーディオやプッシュ通知、バックグラウンド位置情報取得など複数のアプリを同時に起動させることができるAPI(Application Programming Interface)の開発も可能になった。
【5】2010年7月2日:アンテナゲート問題
iPhone人気が高まる中、「iPhone 4」の受信感度の問題が指摘された。Appleはこれを受けて調査を実施し、問題の存在を認めている。ただし、一部から指摘されていたようなアンテナの設計に問題があったのではなく、計算式が間違っていたためであることを明らかにした。
Appleは公式文書の中で、「調査を実施したところ、信号強度を示すバーの本数を計算するための式が完全に間違っていたことが明らかになった。この計算式を使うとたいていの場合、実際の信号強度よりもバーを2本多く誤表示してしまう」と説明している。
Appleがこのように誤りを認めた背景には、Steve Jobs氏がこの声明発表の1週間前に、iPhone 4に明らかに受信問題があることについてArs Technicaから説明を求められ、「どの携帯電話機でも、持ち方によって電波の強度に影響が及ぶ」と答え、失笑を買ったことがある。
【6】2010年9月9日:アプリのガイドライン
Appleは2010年初めに、iOSアプリの開発においてサードパーティー企業の開発ツールを使用することを禁止した。Appleはあたかも、Objective-C言語で記述されていない限りiOSアプリを受け入れず、多くの開発メーカーをiOSプラットフォームから遠ざけて、規制による監視下に置こうとしているかのようだった。しかし2010年9月に入ると、Appleは、開発メーカーからのフィードバックを基に、規制を緩和すると発表。同時に、アプリを設計する際の基準を示したガイドライン「App Store Review Guidelines」を作成することを明らかにした。これにより、Apple Storeのアプリは、さらに増加することになった。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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