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シャープの「MEMS-IGZOディスプレイ」、2014年内にサンプル出荷を開始量産確立にメド(2/2 ページ)

シャープは、クアルコムの子会社ピクストロニクス(Pixtronix)と共同で開発してきた「MEMS-IGZOディスプレイ」について、量産化のメドが立ったと発表した。2014年内にもサンプル出荷を開始する予定。本格的な量産開始は2017年を見込んでいる。

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サンプル生産は米子工場で

 MEMS-IGZOディスプレイは、シャープ米子工場(鳥取県)の生産ラインで開発されていて、サンプルも同工場で製造される。米子工場は、2005年に当時の富士通ディスプレイテクノロジーズから譲渡された工場だ。製造する液晶ディスプレイは2.5世代と古いが、シャープは「MEMS-IGZOディスプレイは、液晶ディスプレイの既存の生産ラインを活用して製造できることも利点の1つだ」と説明する。量産もまずは米子工場でスタートするが、量産の規模に合わせて亀山工場(三重県)など他の工場も使っていくという。

 量産の開始までは、量産技術の確立とともに製造コストの低減にも取り組む。シャープは「最初は規模の小さい米子工場で製造するので、液晶ディスプレイに比べるとコスト面では不利になるが、量産規模が拡大すれば低価格化は進むとみている」と説明する。

 シャープ 専務執行役員 デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏は、「現時点でMEMS-IGZOディスプレイの画素密度は200ppiほどだが、既存の液晶ディスプレイと同等レベルになるくらいまでは引き上げたい。ただ、ディスプレイの性能は画素密度が全てではない」と語り、色再現性や低消費電力など、総合的にバランスの取れた競争力のあるディスプレイを目指すと強調した。

 現時点でのロードマップではスマートフォンやタブレット端末、車載ディスプレイなど中小型ディスプレイをターゲットにしているが、大型化も技術的には可能なので、将来的には大型ディスプレイも視野に入れていくという。

表示コンテンツに合わせて、消費電力を変えられる

 MEMSディスプレイは、シャッターの開閉速度を変えることで色の再現性を変えられる。キメ細かく色を再現する場合は開閉速度を速くし、白黒の場合は遅くする。開閉速度が速いほど電力を消費するので、表示コンテンツに合わせて開閉速度を制御すれば、さらなる低消費電力化を図ることができる。

 高温や、マイナス数十度といった極低温など過酷な環境に強いというのも、MEMSディスプレイの特長だ。液晶ディスプレイは、液晶の動きが鈍くなってしまうと、そもそもディスプレイとして機能しない。その点、メカニカルな機構だけで構成されているMEMSディスプレイは、耐環境性能に優れている。なお、高速な開閉を繰り返すシャッターの堅ろう性については、「現在、7〜8年前に製造されたMEMSシャッターを使って開発を行っているが、何の問題もない」(シャープ)という。

左=表示コンテンツに応じてシャッターの開閉速度を変えることで、より低消費電力化を図れる。右=左が液晶ディスプレイ(シャープが社内で開発したもの)、右がMEMS-IGZOディスプレイ。同じ地図が表示されているが、MEMS-IGZOディスプレイの方が、明るい外光下でも十分に読めるほど視認性が高い。(クリックで拡大)

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